二度目の高校生活スタート!

第9話 オレは葉桜透。これからよろしく!

 次の日。

 2度目の高校生活が始まりを告げる。

 俺たちは入学式のために高校に行った。いつ以来か分からない高校は懐かしさがあった。思わず前の高校生活を思い出す。

 ……あんま楽しいことはなかったな。

 隣りにいるたまが正門の前で口をパクパクとして突っ立っていた。


「こんな大きい高校私初めて見た……これほんとに高校なの?会社とかじゃなくて」

「高校だよ。それにこんくらい普通じゃない?」

「普通じゃないでしょ!これオシャレなオフィスの入口みたいだよ」

「そうかなー」


 たまが驚くのも無理はない。俺だって前の入学式の時はたまと同じ反応をしていた。なんだか同じ反応をしていてウケる。

 ここはさくら崎市立さきしりつ桜ヶ崎高等学校さくらがさきこうとうがっこう。構造としては8階+屋上になっている。グラウンドにアリーナは各部活の大会会場になるくらいの大きさ。

 近隣にある高校の中では圧倒的な大きさを誇っている。


「ほら早く行こう。入学式ならアリーナ前でルーム表配ってるはずだから」

「アリーナ?ルーム?なにそれ。横文字多すぎ」


 たまの頭がショートしそうだ。もしかしてカタカナが苦手なのかな。

 この高校は図書室がメディアセンター、職員室がティーチャーセンターって呼ばれたりするくらいカタカナ使っているのに大丈夫なのかな?覚えるまで大変そうだ。


「アリーナは体育館で、ルームはクラスのこと」

「もしかして……お兄ちゃんって意識高い系?」

「違うわ!どちらかというとこの高校が意識高い系だよ」

「……なんか凄い高校だ」


 俺も初めて来た時は思ったわ。カルチャーショックだったね。中学校までとは環境が違いすぎるからな。

 混乱気味のたまを引っ張って、ルーム表を受け取った。ゆっくり確認するために近くの芸術的なベンチに座る。

 えーと。俺は1年Eルームでたまは……同じEルーム!?兄妹なのに!?


「お兄ちゃんそんな驚いた顔してどうしたの?」

「いや、兄妹なのにルーム一緒だったから。こうゆうのって普通ルーム分けるんじゃないのかな」

「あ、それ死神パワーで同じにしたから。」

「ここでも細工してたのか」

「細工って聞き捨てならないな。私はお兄ちゃんがちゃんと青春をしてるか監視する必要があるからね」


 監視されるのか。監視されなくても青春するつもりではいるけどな。青春しないと死んでしまうからな。死ぬのはゴメンだ。

 それより1つの疑問が朝からある。

 なぜ、たまが一緒に入学式に来てるのかだ。兄妹で妹なら年齢は1個下なのでは。高校入学は来年では。けど今ここにいる。普通に受付パスできたってことは、俺と同じ1年生ということだ。

 謎だ。本人に聞くしかない。また死神パワーなのかな。


「そういえば、何でたまも入学式なの?俺の妹なら1個下なんじゃ?」

「兄妹は兄妹でも双子ってことにしたからね。だから同い年だから私も入学式」

「双子なんて初耳なんだけど」

「当たり前でしょ。今初めて言ったんだから」

「早めに言ってよ」


 双子だったのか。てか、こんな重要なことは昨日の内に教えてほしかった。


「よっ!おふたりさん仲いいね。付き合ってるの?」


 座っている俺たちの前に男子生徒が現れた。

 金髪でイケメン。背も高くて運動神経が良さそうな見た目。

 確か、前の高校生活では同じルームにはならなかった人だ。廊下とかで見たことはあるけど、名前は知らないパターンだ。

 そんなことより変な勘違いされてるから、ちゃんと兄妹って言わないと。もしかして周りから勘違いされてるのかな……何か聞かれたら今回みたいに説明する必要がありそうだ。


「あーいや、俺たち兄妹なんだ。だから仲いいんだよ」

「そーゆうことね。あ!自己紹介がまだだったな。オレは葉桜透はざくらとおる。気軽に透って読んでくれ。これからよろしく!」

「俺は白倉夏輝でこっちが────」

「妹の白倉たまです。よろしく」

「夏輝にたまちゃんね。よし覚えた」


 距離の詰め方自然的。

 コミュ力の塊だ。俺とは正反対だな。


「2人は何ルーム?兄妹だし違う感じ?」

「Eルームで一緒なんだよ。運が良かったよ」

「へぇー、珍しいこともあるんだな」


 整列を知らせるチャイムが鳴る。

 もう少しで入学式が始まる。2度目の高校生活のスタートだ。少しだけ緊張する。命かかってるからな。


「そろそろ整列だな。じゃあ、夏輝にたまちゃんまた後でな」


 そう言って透はいなくなった。

 また後でってことは同じルームなのかな。聞いとけばよかった。


「……なんかあの人凄い人ね。初日なのにグイグイ話してくるなんて。私驚いてあんま喋れなかった」

「あれが巷で有名なコミュ力お化けだな」

「けどお兄ちゃん、そんなコミュ力お化けと普通に話せてた」

「前の高校生活で見たことあったから。初対面じゃなかったらけっこう話せるもんだよ。それより早く行こう」

「うん」


 たまと整列するために列に向かった。

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