EP.11「ティア・ゼペリオ・シュガーライトが母に書いた手紙」

 拝啓、お母様。


 お元気でいらっしゃいますでしょうか?

 緊急事態だったとはいえ、なんの連絡もせずに地球から居なくなってしまい、ご心配をおかけして、すみません。

 私、ティア・ゼペリオ・シュガーライトは現在、パルフェガーディアンズの一員として、初の任務を行なっています。


 その任務とは、お母様もニュースでご存知だと思いますが、遥か昔、お父様が発見した魔力を増幅させることが出来る謎の石『ロード・ストーン』が盗まれた事件です。


 犯人は未だ何者かわかりません。


 そして、犯人は『ロード・ストーン』を持ち出し、宇宙船で逃走している最中。なにがあったのかわかりませんが、宇宙船が爆発してしまいました。

 それにより、『ロード・ストーン』は粉々に砕けてしまったのです。

 そして、ストーンは『カケラ』となって、ある星に降り注いでしまいました。

 この『カケラ』を回収しなければ、大変です。

 とんでもないことが起きてしまいます。

 なにが起きるかは、秘密事項なので、これは書けません。ごめんなさい。


 『カケラ』の回収は緊急事態だったのと、多くの人手が必要なので、パルフェガーディアンズに所属するメンバー全員(最高司令官であるお父様と、通信係の人たち以外)が参加することとなりました。

 それで、新人である私も急遽、任務に参加することに。

 私にとって、この『カケラ』の回収がパルフェガーディアンズとしての初の任務になりました。


 『カケラ』が散らばった星へは、宇宙船ではなく、お父様の空間移動魔法『テレポーテーション』で行きました。

 この地球から、多くの人を一瞬で違う星に瞬間移動させられるなんて、本当にお父様は凄い魔法使いです。

 一瞬でガーディアンズ基地から、いきなり違う星に来てしまいました。

 ビックリです。

 いきなりの任務と移動だったので、お母様には連絡が出来ませんでした。本当にごめんなさい。



 私は現在、『カケラ』が降り注いでしまった星の『ジャパン』という名の国に居ます。

 この星は私たちの住んでいる地球と非常にそっくりです。

 ただ、凶暴なキメラや凶悪なオークのような怖いモンスターは存在しません。

 そして、なにより、この星の人間は『魔法』が使えないのです。

 だから、魔法を使わず、すべて電気か、化石燃料をエネルギーにした機械を使って生活をしています。

 魔法を使わないで、機械に頼って生活しているなんて、この星の人間は凄いなぁと思います。



 任務の方は……なんとか上手くやっていると思います。

 この星に来たパルフェガーディアンズのメンバーは、数人ずつのチームに分かれ、この星の各エリアに配置されます。

 そして、チームでそのエリアに散らばった『カケラ』の回収を行います。

 ちなみに、私のチームは『ジャパン 北部城宮県億台市エリア担当』です。


 私が入ったチームの方々は、みんな優しい人たちばかりです。

 チームリーダーのソフィア・ニュートラムさんはとても優しい方です。

 最初はちょっと怖い人かな、と思いましたけど、優しく任務の進め方や、この星で生活するために必要な知識、更には基本系魔法と応用系魔法について詳しく丁寧に教えてくれます。

 そして、私が任務や魔法を上手くこなすと、「グッジョブ!」と言って親指を立てて誉めてくれます。

 本当に優しい方です。


 チームメンバーもみんな優しい人たちばかりです。みんな、私と同じお父さんの子供です。


 まずは、ライラ・フォトン・シュガーライトさん。

 彼女は、私より一つ歳上でおっとりとした性格の優しいお姉さんです。

 でも、とても強い魔法を使う人です。植物を操る魔法が得意です。


 次にエイグル・フォトン・シュガーライトくん。

 ライラさんの弟で、私より一つ歳下です。

 水を操る魔法が得意です。

 ただ、ちょっとだけ言葉がキツく、私に「落ちこぼれ」とか、「ポンコツ」とか、「よくそんなんで、ガーディアンズに入隊できたな」と言ってきます。

 正直、傷つきました……。

 ですが、その度にライラさんが「そんな、ひどいこと言うのをやめなさい!ティアちゃんに謝りなさい!!じゃないと、もう、あなたとは口を聞きません!」とエイグルくんを叱ります。

 すると、エイグルくんは「ごめんなさい、ごめんなさい、お姉ちゃん!もう怒らないで!もう怒らないでよ!」とライラさんに泣きながら抱きつくのです。

 ライラさんは泣いているエイグルくんを「よしよし……もう、ティアちゃんにひどいこと言っちゃダメよ」と頭を撫でてあげます。

 私はそんな二人を見て、思わず、笑ってしまいます。


 そして、ダイヤ・ソリッド・シュガーライトちゃん。

 私より歳下のオシャレで派手な感じの女の子です。炎を操る魔法が得意です。


 この子は……。



 あ!

 お母様!ごめんなさい!メールの最中ですが、緊急事態が起きたみたいです!

 私の張った『結界』に、誰かが触れました!!

 今すぐに、任務に行かなくてはなりません!!


 とりあえず、わたしは元気でやっています!

 お母様もお身体をお大事に!!

 また連絡します!!


 ティア・ゼペリオ・シュガーライトより

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