第54話 子供達

第54話


はぁ、さっきあんな格好つけたのに…


「うーん、美味しい♪」

「そうか、それは良かった。」


何で俺は人織にタピオカ奢ってるのだろうか?


まぁ、それ自体は別に良いんだ。


娘を甘やかすのは父親の義務だ。


そして…


「ねぇ、もっと欲しいよ巧望くん♪」

「そうだそうだ。もっと、俺に高い奴を奢れよお父さん(笑)。」


と、陽や葵の奴まで現れやがった。


はは、陽。お前にはもっと奢ってやるからな。でも、食べ過ぎや飲み過ぎには気を付けろよ?


葵、お前は後で表に出ろ。


()って隠しきれてねぇぞ、感情が…


「お前ら、何で此処に居るんだ?学校は?」

「サボってるお前に言われたかないんだが…」

「今日は早く終わる日だよ、巧望くん。」

「事情が事情なのは理解わかってるんだけど、生徒会の立場として…」


ああ、そう言えばそうだったな…


人織、それに関してはすまんな…


「…ふざけるのは此処までね。聞いてくれる、お父さん?」


えっ、今…


人織が俺の事をお父さんと呼んでくれた!


嬉しい!


マジで嬉しいよ、人織ぃ…


…って、そうじゃない!


人織は真剣な顔をしてるんだ、ちゃんと話を聞かなければ…


「私もあるよ、巧望くん。いや、。」

「陽、お前まで…」


一体、何を…


「「お母さんの事は私達に任せて、お父さんは側に居て!」」

「お前ら…」


それはどういう…


「家の事情は俺達に任せろ。お前は唯母さん達に愛想振りまいとけって事だ。」

「「「言い方………」」」

「なっ、よってたかって!」


しかし、それじゃ…


「心配するのは解るよ。でも、それは雫ちゃんの前じゃ要らない物でしょ?」

「それに、これは俺達の問題でもある。お前が本当に父親ぶる気なら…」


「家族を信用して、全て預けろ。」と、葵は言った。


お前、いつの間に…


「お前、格好よくなったな…」

「やめろ、お前に褒められても気持ち悪いだけだ。それに俺はお前の話を信じちゃいない。」

「なら、何で…」

「でも、母さんにとってお前が大切な存在なのは理解できてるんだよ。それに、お前は俺にとっても…」


少しの間、沈黙し…


「いや、これはお前が事を終わらせてから話す。」

「恥ずかしいんだ…」

「昔から照れ屋なの、私の弟…」

「聞こえてるぞ、お前ら!」


はぁ、理解わかった…


「アイツ関連の重い荷物はお前達に任せるよ。枕にしようと思ってたが、楽になったわ。…頼んだぞ。」

「「「うん(おう)!」」」


本当に良い子供達を持った物だ。


よし、行くぞ!


待ってろ、雫!


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陽葵姉弟&人織


「ふぅ…」

「行っちゃったね…」

「目障りだから、せいせいしたがな。」


私達はあの人が好きだ。


反応は皆それぞれ違うし、思う所も全く異なる。


それは繋いだのは、私達のお母さん達なのだ。


色々と酷い罪を背負ってるけど、感謝している。


「はぁ、ああ宣言したんだ。俺達もやる事をやるんだ。」

「うん!…えっと、お父さんの電話番号は……」

「私はお母さんと病院に…」


さっさとケリを着けて、お父さん達を過去から解放しないと…


親孝行をするには早いかもだけど、別にしなくていい理由にはならないからな!


続く

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