最終章 彼ら彼女達の未来図
第51話 兄妹
第51話
『昨日未明、〇〇ホテルにて不審死体が発見されました。徹底的に顔や指紋を潰されており、未だにこの男性が誰なのかは不明なままです…』
「マジか、何かに巻き込まれなくて良かった…」
家に帰ってきた翌日、朝のニュースでこんな不穏な事件が流れていた。
しかも、このホテル俺達が泊まった所じゃん…
いやぁ、本当に巻き込まれなくて良かったよ。
俺が死ぬのはまぁ良いとして、暦達(朱里は死なないだろう、多分)が死んだら、俺は…
「ふふ、昨日は楽しかったわね。ほら、早く朝ごはん食べなさい、巧望。」
「お前が作ったみたいな感じ出してるけど、作ったの俺だからね?」
全く、そうやって母親感出すの嫌いじゃないぜ、朱里。
「でも、早く食べなくて良いの?今日は朝から真宵ちゃんに土下座し倒しに行くんでしょ?」
「…口に出して言わないでくれ。滅茶苦茶、不安なんだから…」
いや、殆ど無理ゲーに近いのが困る。
大丈夫かな…
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「良いよ。」
「えっ、良いの?」
頼んだら、普通にOKしてくれた。
開幕土下座した意味よ…
でも、何で…
「お兄ちゃんの頼みだし、あの女には一回どころか千や万、億、兆くらい地獄に墜ちて欲しいけどさ。」
だが、真宵はすかさず…
「でも、私は絶対にあの女には会わないからね。」
「…それは……だろうな………」
「うん。絶対に無理。」
アイツも会う気は無いと言ってたしな…
「唯、ちゃんと人織が俺の娘だと解ったら、アイツにだけは会ってやってくれ。今まで、アイツらは二人だけだったんだから。」
「…………はぁ、良いよ。あの女に似てるのは癪だけど、会ってあげる。本当にそうだったら、一応私の姪になる訳だしね…」
「いつもありがとうな、真宵。」
「どういたしまして。それに、その分お兄ちゃんに甘やかして貰うからね!お兄ちゃんが死んでからずっと、して貰ってない分いっぱい♪」
「はは、当たり前だ!俺はお兄ちゃんだぞ!」
失った時間を埋めるかの様に触れ合う二人。
身体も年も全く違う物になってしまったが…
…心、魂は同じなのだ。
つまり……
………例え、どんな事が起ころうと俺達は兄妹なのである。
続く
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