第46話 お母さん

第46話


「暦、人織を連れて後ろに下がってろ…」

「う、うん!人織、起きて!早く!」

「えっ、もう朝…」


若干寝惚けてる人織と暦を後ろに下がらせ、臨戦態勢を取る。


一体、誰が…


「こんばんわ!会いに来ちゃった♪」

「か、母さん!?」

「えっ、今のお義母さま!?」

「あれ、何で巧望くんのお母さんが居るの?」


何してるの、この人!?


ていうか、どうやって入って来た!?


「勿論、ピッキング♪」

「勿論じゃねぇよ!」


普通に犯罪じゃねぇか!


ていうか、何処でそんなスキルを!?


「いやぁ、初孫の顔を見たくなっちゃって…」


はぁ、初孫!?


まさか、人織の事か?


「てか、何で俺達の事情を知ってるんだよ、母さん!」

「あ、そう言えば、こういう形で会うのは初めてだったね…」


初めて?


しかも、こういう形で?


まさか…


「巧望くん、久しぶり!他の皆々様は初めまして!私の名前は雪崎 照美…」


俺の母さんは自分の顔を隠す様に、手を翳す。


その瞬間、母さんの雰囲気が変わった。


この纏わり付く様な気配、重くのしかかって呑まれそうになる様な重圧。


まさか、コイツは…


「もとい、雨崎 朱里と申します。」


翳した手をどけた瞬間、あの謎空間で見続けてきた朱里の顔になっていた…


コイツ、俺の母さんをどう…


「大丈夫、私は最初から君の母親だ。それは君が死ぬまで、死んだとしても変わらぬ事実だ。だから、安心すると良い。」

「ちっ、なら、良いんだ…」


はぁ、びっくりした…


まぁ、コイツは疑うだけ無駄か…


「…人識くん、この女の人は?」

「ああ…先程名乗ってたけど、朱里。化け物みたいな女だ。」

「失礼な、私はアイツと違って人間だよ?」

「まぁ、そういう事だ。疑うのも面倒くさくなる奴だから、そういう物だと思っとけ…」


お前みたいな人間、居るのか?


「えっと、どういう事…」

「安心しろ、人織。俺も解らん。」

「駄目じゃん…」

「仕方がないだろ、存在自体が謎みたいな奴なんだから…」

「ミステリアス系モブだもの♪」


だから、お前みたいなモブは居ねぇよ…


そう突っ込んでいると、朱里は俺の母さんの顔に戻り…


「そうそう、歓談してる場合じゃなかったわ。」

「ん?そう言えば、何で来たんだ?」 

「明日、皆で出掛けようと思って♪」

「「「………………………………………は?」」」


何、言ってるんだコイツ?


続く

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