第11話 希望

第11話


私は妊娠していた。


一体、誰?


いや、人識くんだ!


あの時、ドタドタしててピル飲むのを忘れてたし…


本当に人識くんの?


絶対にそうだよ?


何故、そう言い切れるの?


だって…


貴方の中に出したのは人識くんだけじゃないのよ?


違う!私が妊娠したのは…


確定した訳じゃないでしょ?


嫌、嫌…


信じない!信じたくない!


…はぁ、バカね私。


「ふふ、。」


そう、絶対に違う。


この子は絶対になの!


確かめなくても解るわ、そんな事!


それ以外は有り得る筈がない!


ふふ、楽しみだなぁ…


どんな子が産まれるかなぁ…


男の子だったら人識くん似で、女の子だったら私似かな?


「名前、どうしようかなぁ…」


男の子だったら歴人れきと、女の子だったら人織ひとおりとかにしようかな?


「早く元気に産まれてきてね、私達の愛し子♡」


もう生きる意味なんて無いと思ってた。


でも、今の私にはこの子が居る。


「もう大丈夫だよ、私はちゃんと生きて貴方を育てるからね…」


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そして、現在…


「で、今があるの♪」


と、暦は本当に一部始終話してくれた。


生々しい話(間男による脅迫部分)が始まった瞬間に、手刀で人織を眠らせた俺の対応を褒めて欲しい。


ていうか、娘居るんだからもうちょっとオブラートに包めよ?


何?そもそも居る場所で話を聞き始めた俺が悪い?


くそっ、正論だな…


まぁ、色々と事情は解った。


本当なのか、どうかなど今は関係ない。


今は唯…


「暦…」

「はい、人織くん…」

「バカか、お前!」


思いっきり、チョップを暦に喰らわす。


全く、このアホは…


今から説教とお仕置きタイムだ、こら!


「い、痛い!」

「だろうな!そうしたからな!」

「うぅ…」


なっ、涙目可愛い…


…じゃなくて!


「覚悟しろよ、暦…」

「う、うん…」

「俺達が朝日を拝むまで、ずっと説教だからな!」

「…はい♪」


…あれ、もしかして選択肢間違えたか?


いや、どの道ガツンと言わなきゃならないんだ。


今は気にするな!


「さぁ、始めるぞ。正座しろ!」

「はい、あなた!」


…やっぱり、不安になってきた。


続く

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