第40話 急募 防シリアス対策のある部屋

第40話


「はぁはぁ、死ぬかと思った…」


今度は車じゃなくて、明確に他殺される所だったわ…


しかも、薄っすらと川まで見えたし…


何か向こう側にジープに乗った朱里が手を振ってたし…


……嫌がらせかな?


それはさておき………


「ご、ごめん…」

「だ、大丈夫だから…」


と、泣きそうになりながら謝ってくれる人織。


尚、今の俺は雫に抱きかかえられているので、全く格好が付いていない。


俺は愛玩動物と同じ枠なのだろうか…


「うぅ、どうする陽葵…陽葵さん。この人にお…人識さんについて話すのか?」

「…此処じゃ駄目だと思う。だから、別の場所にしましょう?」

「だ、そうだ。どうする?」

「…解りました。何処の場所にします?」

「私の部屋は少し遠いし…」

「陽葵さん、いい場所がありますよ!」

「どうして俺を見るんだ?」


おい、雫…まさか……


………いや、そんな訳ないよな?


流石にどうかと…


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「すみません、お邪魔させていただきます…」

「ただいま!」

「お邪魔します…」

「何で…」


…何で俺の家なんだよ!?


俺の家は防シリアス対策してねぇんだぞ!


「お帰りなさい巧望、雫ちゃん。あら、陽葵さんも来てたのね。ん?もしかして、その娘は新しい友達かしら?」

「似た様な物だよ。あっ、飲み物は俺が持っていくから。」

「解ったわ。部屋には近付かないでおくわね…」


俺の母さん、察しが良すぎるだろ…


まぁ、正直助かるんだけれど…


「これが男の子の部屋…」

「ん?入った事ないのか?」

「お母さんがお父さん以外の男は全部ダメって教えられてきたから…」


「人付き合いは出来てたけど、それ以上は全くした事がない。」と、人織は溢していた。


暦の奴、何してるんだ?


一体、お前に何が…


いや、今はよそう。


まずは人織の方だ…


「…じゃあ、早く教えてください!」

「う、うん。ひーくん、一崎 人識くんは私の大切な幼馴染で、大切な元カレなの…」

「大切な?元なのに?」

「うっ、そ、それは…」


おっと、最初からクライマックスだぞ?


ていうか、一応突っ込むのは最後にしてあげて。


色々と可哀想だし、俺のメンタルまで抉られてくるから…


「色々合ったの。色々、と。まぁ、それで小学生の頃に私とひーくんは暦ちゃんに会ったの。」

「其処で親友になったと?」

「うん、最初は上手く行かなかったけどね。まぁ、それでも溝はあるにはあったんだけどね…」

「溝?」

「うん、暦ちゃんはひーくんが好きだったの。当時、気が付いていないのはひーくんだけだった。」


おっと、飛び火しました。


胸が滅茶苦茶締め付けられています。


ヤバ、辛たん…


「で、私と暦ちゃんに徹底的な亀裂が出来たのが高校生。」

「何があったんですか?」

「色々あって私がひーくんと別れて、その後直ぐにひーくんと暦ちゃんが付き合ったの。」


続く

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