第39話 歯車は動き出す

第39話


その後、俺達は…


「うーん、やっぱり照り焼きだねぇ…」

「そうだな。まぁ、俺はフィレオフィッシュなんだが……」

「………ダブルチーズバーガー(ボソッ)。」


…俺達はマックでハンバーガーを堪能していた。


まぁ、どうやら好みはバラバラの様だが…


「で、何処で知り合ったの、たーくん?」

「えっと、昔幼稚園児くらいの頃に一度だけ遊んだ事があって…」

「私は小学1年生だったね。いやぁ、今でも思い出すよ…」


今思うと、俺は幼女に泣きついてたんだよなぁ…


……ヤバい、めっちゃ恥ずかしい!


「良かった、幼馴染ポジは私だけなんだね!」

「何危惧してるんだ、お前…」

「だって、陽葵さんも似た様なポジ確立してるんだもん!」


アイツは前世のだし…


「よく、理解わからないけど良かったね。」

「はい、ありがとうございます!」

「しかし、アンタ書記やってたんだな。」

「一昨日くらいに皆の前に出てた筈なのに、知らなかったのはビックリしたよ…」

「興味なかったし、寝てたからな…」

「えぇ、立ったままよく眠れるね…」


此処だけはの○太くんに負けない自信あるぜ?


しかし…


よく見れば見る程に…


「ん?何かな?」

「いや、知り合いに似てるっと思って…」

「……………ふぅん、知り合い、ね。」


あれ、言葉を間違えたか?


何か雰囲気が…


しかも、不機嫌そうな雰囲気まで暦に似てるな…


まさか、陽と同じ様に…


「あれ、ひーくん?」

「ん?陽葵!?」

「何でこんな所に…」


…暦と陽葵か。


あの時以来、もう二度と見る事の出来なくなった光景…


ダメだ、抑えられない…


彼女は別人だと理解わかっている筈なのに…


「大丈夫、巧望くん?」

「えっ…」

「あの時みたいに泣きそうになってるよ?ほら、落ち着いて…」


そっと、人織が抱き締めてくれる。


あの時の様に、力強く…


「えっ、暦ちゃん!?」

「…さっきから、暦、暦と煩いですね。まさか、母を知っているんですか?」


やっぱり、陽や葵と同じ…


だが、人織の表情は憎々しげで…


「うん、知ってる。彼女がどう思っているかは理解わからないけど、親友だと思ってたから…」

「そうなんですね。なら、教えてください!」

「えっ…」

「お母さんを苦しめ続けている人識…一崎人識という男を!」


「私のお父さんを…」と、彼女は言った。


………………………………………ん?


えっ、お父さん!?


もしかして、陽や葵と違って…


…本当に俺の娘なのか!?


それはそれとして、俺を抱き締めながら話すのやめてください。


息が詰まって………死に……そ…


続く

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