第36話 今の所はこれで良い

第36話


「狭い…」


開幕呟いた言葉がそれだった…


「何でお前ら、俺の部屋に集まるんだ!」


とある日、俺の部屋には…


「ちっ、綺麗だな…エロ本もない。弱み握ろうと思ったのに…」

「相変わらず、綺麗にしてるんだね…」

「此処が今のお兄ちゃんの部屋。前世と全く変わらない感じなの笑っちゃう。」

「そうなんだ、前もこんな感じだったんだね…」

「棚とか変身アイテムばっかりだけど、金は大丈夫なの?」


残念だったな、葵。今の俺の部屋に死角はないぜ?


だろ?それに、昔はお前の方が汚部屋だったのに、成長したな陽葵。これが時の流れか…


真宵、それはどういう意味だ?変わらないのも悪い事じゃないだろう?昔の歌も『変わらない物も大事にしたい』って言ってたしな!


雫、マジマジと見るのはやめてくれ。何か恥ずかしくなってくるからさ…


陽、どう思う?勿論、火の車さ。でもな、陽。一つ覚えておけ。多々買わなければ生き残れない!


モブくん?勿論、今回も居ない。流石にね…



「で、何で此処なんだ?」


顔合わせにしても、もっと場所があるだろ?


其処まで俺の部屋は広くないんだぞ?


「「行ってみたかったから…」」

「俺は陽の付き添いだ。」

「私は…えっと……興味………じゃなくて、陽が行きたそうにしたから……………」


成程、大体理解わかった。


ていうか、陽葵。


お前、正直に言えば良いのに…


「…まぁ、えっと、アレだ。多分、これから長い付き合いになると思う。お互いに色々と思う事はあるだろうし、それを無くせとは言わん。俺もそんな気は最初から無いしな。」


そもそも、今俺が陽葵といるのは私情兼私怨みたいな物だ。


大好きだから、共に居る。


許する気が無いから、共に在る事を選んだ。


誰にどう思われようと、それを譲る気はない。


「それはそれとしてだ。今日はめいいっぱい楽しむぞ!お前らには俺特製クッキーを食わせてやるからな!」


と、俺の合図と共にプチパーティーが始まる。


雫と真宵は睨み合いながらクッキーを頬張り…


陽はその隙を見て、彼女達からちょこちょことクッキーを奪い…


それを見た葵がドン引きしており…


俺と陽葵は外から楽しそうに眺める。


「ひーくん…」

「…何だ、陽葵?」

「ずっと、続くと良いね…」

「…だな。」


でも、俺は知っている。


永遠など無いと…


それは俺の前世の人生が証明済なのだ。


まぁ、でも今だけは…


「このままで居させてくれよ、神様。」


『お任せあれだよ、巧望くん!』と、何処ぞの朱里な声が聞こえた気がするが、無視しておこう。


多分、それが一番だ…


続く

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