第4章 一生の償い
第26話 許す訳
第26話
「はぁ、今日は色々あって疲れたなぁ…」
陽葵と別れ、俺は風呂でノンビリしていた…
ふぅ、生き返るぜ。
まぁ、生まれ変わりならしてるんだけどな!
「そうだね…」
「…今更だが、何でお前も一緒に入ってるんだよ、雫?」
「タオル巻いてるから良いじゃん!」
「良いけどもだよ!」
俺が欲情できないからって、もう少し恥じらいを持って欲しいわ…
しかも、狭い。
後、上に乗るな。地味に重いんだからさ…
「ねぇ、お母さんも入りたいわ!」
「来んな!流石に定員オーバーで潰れるわ!」
あの親バ母さんめ…
スキンシップが過剰過ぎなんだよ…
…いや、前世の真宵も大概だったな、うん。
これ以上は藪蛇だわ。
「ねぇ、たーくん。今日も泊まって良い?」
「別に良いぞ。ていうか、最近は殆ど泊まってるだろ。」
お前の荷物用の小部屋在るしな…
ていうか、最早別荘状態だし…
「…で、雫。」
「ん、何?」
そろそろ、誤魔化すのは止めるとしよう。
「まだ、聞きたい事があるんだろ?早く言え。」
「………何だ、バレちゃった♪」
と、朗らかに彼女は笑う。
成る程、真剣な話か…
なら、風呂場じゃダメだな…
「ふぅ、その前にあがるぞ。このままじゃのぼせちまう。」
「だね…」
俺達はあがり、お互いの寝間着に着替え、同じベットに座る。
雫は真剣な顔で俺を見詰めてくる。
その目は俺に嘘をつくなと言っている様だった。
そして、彼女はこの言葉を紡いだ。
「たーくんは本当にあの陽葵って人を許すの?」
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雫side
私は今日、ずっと不快感を心の底で感じていた。
何で、あの陽葵って女はたーくんの前で笑えるんだ?
何で、そんな夢を見ていられるんだ?
お前は罪を犯した大罪人の筈だろう?
それに…
「何で、たーくんは優しくするの?」
怒ってないの?
悲しくないの?
悔しくないの?
私は初めてたーくんが
それがどうようしようもなく…
…悔しかったのだ。
「もっと、知らなきゃ…」
知ろうとしなければ、何も始まらない。
知らなければ、何も
知る事で、もっとたーくんに近付ける!
だから、私は聞く事にしたのだ。
「たーくんは本当にあの陽葵って人を許すの?」
多分、たーくんは許すのだろう。
たーくんは優しいもんね。
でも、それは私が嫌だ。
おそらく、義妹ちゃんもそうだと思う。
だが、たーくんは…
「バカだなぁ、雫。そんなの…」
とびっきりの笑顔で、愉しそうに私の頭を撫でながら…
「許す訳がないだろう?」
と、さも当然の様に嗤いながら答えてくれた。
その様子に私は…
…思わずゾクゾクしてしまった。
あっ、ちょっと濡れそう。
続く
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