幕間2 弱い子陽葵ちゃん
幕間2
二崎 陽葵は弱い人間だ。
彼女は誰か、今回は主に人識に寄り掛かって生きてきていた。
彼女にとって彼は一番安らげる止まり木であり、どんな暴風でも耐えてくれる壁であり…
…何時でも自分を守ってくれる愛しの
だが、彼女はそれを失った。
いや、失うと思ってしまった。
その事実に、彼女は耐えられなかった。
喪失感の重みに耐えられなくなった彼女の心は、彼女の脳は…
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「あれ…」
目が覚めると、何故か知らない場所に居た。
「良かった!目が覚めたのね!」
「これも人■君のお陰だ?」
あれ、お父さん達は何を言ってるの?
何故かノイズが走った様な…
「良かった、陽葵ちゃん!後は■識くんが起きるだけだね♪」
と、私は事故に遭って入院していたらしく、親友の暦が見舞いに来てくれた。
でも、その人は誰?
「退院おめでとう!早く、あの三人で過ごす日々が戻ると良いね!」
「うん、そうだね暦ちゃん♪」
あれ?三人?
私達はずっと…
…二人だった筈だよね?
「人■くん♪」
「■識君。」
「■■。」
こ、怖い。
皆は何を言っているの?
まるで、知らない誰かが、皆の記憶の中に挟まれ、巣食ってるみたい…
怖くなった私は少しずつ気が付かれない様に壁を作る様になっていった。
そんな時…
「ありがとう、学校を案内してくれて…」
「どういたしまして。」
転校生の彼とひょんな事から関わる様になった。
謎のノイズが響かない彼との会話は楽で、楽しかった。
そうして、半月が経った頃…
「陽葵、やっと会えた!今日は何してたんだよ!」
知らない人の声が響く。
誰か私を呼んでる?
振り向くと、其所には…
…顔中にモザイクが掛かった男が立っていた。
私は思わず悲鳴が出そうになるのを抑えつつ…
「えっ、貴方誰ですか?」
こう、告げた。
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か弱き彼女の心は、儚き彼女の脳は…
…彼だけを徹底的に記憶の中から排除したのだ。
本当に憐れな子である。
続く
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