第4話 人識は見た

第4話


昼休み、普段なら陽葵と音崎と一緒に食べるのだが…


「あれ、音崎?陽葵は?」

「何か用事あるらしいよ…」


ふぅん、そっか…


なら、仕方がないか…


「ねぇ、人識くん。」

「何だ、音崎?」

「陽葵と何か合った?」

「うーん、事故る前に告白した位かな、結婚を前提に。」

「そ、そう。ウラヤマシイ…」


と、何故か悲しそうな顔をしていた。


うーん、もしかして、親友を取られると思ったのか?


「安心しろ、解ってる。」

「えっ…」

「いくら結婚するからといって、陽葵がお前を蔑ろにする訳がないだろう?」

「えっ……………………う、うん。だよね!」


良かった、不安は取り除かれた!


はは、我ながら気の使える男だな!


「また、変な事を考えてる…」

「なっ、またか…。何で、お前達はそういう事が解るんだよ?」


俺の母さんしかり、陽葵しかり、お前しかりよ…


「うーん、そうだね…」


音崎は少し考える素振りを見せ、可愛らしい笑顔を向け…


「私達がよく人識くんを見てるからかな。それと…」

「…それと?」

「私達が人識くんの事を大好きだからだよ♪」


そっか、そうだよな…


「ありがとうな、音崎!」

「どういたしましまして♪」

「…何の話してったっけ?」

「さぁ…」


まぁ、楽しいから良いか!


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放課後、その時間が来ても彼女は俺の前に姿を見せなかった。


やはり、何か可笑しい?


「どうだ、音崎?」

「クラスの子に聞いたけど、帰ったみたいだよ、陽葵ちゃん。」

「そうか…」


何時もなら、三人で帰っているのに…


一体、何が起こってるんだ?


「仕方がない、今日は二人で帰るか…」

「うん…」


と、音崎と二人だけで帰る事になる。


しかし、陽葵が居ない時間が長過ぎたのだろう。


結局、俺達は別れる所まで無言だった。


「じゃあな、音崎。」

「うん、また明日。」


彼女と別れた俺はずっと陽葵の事を考えていた。


頭の中で色々と嫌な想像が浮かんできては、それを振り払う。


それを繰り返していると…


「あっ、陽葵!」


見慣れた愛しい彼女の姿が視界に映る。


俺は全速力で彼女に近付き…


「陽葵、やっと会えた!今日は何してたんだよ!」

「えっ、貴方誰ですか?」


俺は固まった。


彼女の放った言葉を理解しきれなくて…


続く

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