第24話 変わった物と変わらない物

第24話


「ひーくん!ひーくん!」

「たーくん!起きてよ、たーくん!」

「お兄ちゃん、死んじゃ嫌だぁ!」

「いや、死ぬかよ。」

「「「あっ、起きた!」」」


起きたら、めっちゃ揺らされていた。


しかも、三人とも抱き着いてくるので息が詰まりそうだ…


また朱里の所に行きそう…


ていうか、倒れたんだから救急車とか呼ぼうよ君達さ…


まぁ、それ程パニックだったんだろうけど…


「まだこの公園に居るって事は、そんなに時間は経ってねぇか。朱里の所に居ると、時間感覚が狂うな。」

「ひーくん…」

「「朱里?」」

「ん?」


あれ、何か怖いぞお前ら?


後、陽葵。そんな顔をするな、つられて俺も悲しくなってくるから…


「朱里って誰?」

「また誰か女を作ったの、お兄ちゃん?」

「前世含めても二人しか居ねぇよ、俺!?」


ていうか、アイツを女と認識したくない。


アイツ多分、怪異とか邪神とかの類いだし…


「アイツの事は後で話すよ。一応、イマジナリーフレンドみたいな奴だし。」


あれ?


もし、本当にそうだとしたら、俺って悲しい奴過ぎないか?


うん、そんな事ないと信じよう!


「ま、まぁ、こんな所で話すのもなんだ。場所を変えようぜ?」

「あっ、誤魔化した!」

「絶対に後で聞き出すからね、お兄ちゃん!」

「…そういう所、相変わらずなんだね、ひーくん。」


煩いやい、変わらねぇよ俺は。


死んでも、生まれ変わっても、変わってやるもんかってんだ。


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場所を変え、俺達は陽葵の家に来ていた。


だが、沈黙がこの場を支配していた。


うーん、何から話せば良いのか解らん。


どうした物か…


そう考えていると…


「腹減ったよ、たーくん。」

「お兄ちゃん、私も!」

「お前ら、人の家で何言ってんだよ…」


と、妹と雫が喚き出した。


うん、空気を変えてくれた事には感謝するさ。


でも、これはないだろ…


「ごめんなさいね、私が作ってくるから…」

「えっ?お前がか…」


万年メシマズのお前が!?


「昔の私じゃないもの、料理くらい作れるわ。」

「そうか、そうだよな…」


もう昔には戻れない。


致命的に変わってしまった物がある事を忘れてたわ…


バカだな、俺…


「なら、手伝うよ…」

「…ありがとう、ひーくん。」

「それ位で礼を言うな、陽葵。」


だからこそ、聞かなきゃならない事がある。


はぁ、まさか暦の前に陽葵とケリを付けなきゃならないとはな…


人生、本当に理解わからない物だ。


でも、今は…


「一緒に作ろう、昔みたいに。」

「…うん♪」


…過去に浸らせて貰おう、お互いに。


続く

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