第22話 時と身体を越えた再会

第22話


その後、真宵から彼女の場所を聞き出した。


どうやら、陽葵は実家の近くに住んでいるらしい。


そして、俺は彼女の家に向かったのだが…


「お兄ちゃん、本当に行くの?」

「大丈夫、たーくん?」

「大丈夫だよ、心配するな。」


と、雫と真宵達が過剰に心配してくる。


お前らは俺の親かよ…


いや、まだマシな方か。


あの人、まだ頬ずりしてくるからな…


父親の方は放置気味なせいで、余計にそうなってるんだろうな…


全く、今世の父親はバカなのか?


それは兎も角として…


「外で待ってるからね!変な事されたら、叫んでね!」

「おねショタは好きだけど、リアルだと普通に犯罪だからね!」

「お前ら、何想像してるんだ?」


そんな事ある訳…


「お兄ちゃん、抱っこさせて♪」

「お兄ちゃん、ハグさせて♪」

「えへへ、お兄ちゃんの頬にキスしちゃった♪」

「お兄ちゃん、一緒に寝よ?」


…ごめん、否定出来ねぇわ。


近くにおねショタが性癖疑惑の身内居るし…


まぁ、俺以外にはしてないだろうが…


…してないよね?


流石に止めるよ、俺。


ピンポン♪


「すみません、少し良いですか?」


チャイムを押し、彼女の反応を待つ。


だが、反応が全く帰ってこない。


居ないのか?


「真宵、ちょっと変わってくれ。」

「ええ、嫌だよ…」

「帰ったら、ひたすら甘やかしてやる。」

「はい、喜んで♪」

「…チョロカワ。」

「解る。流石、義妹ちゃんよね…」


だが、彼女は出てこなかった。


反応も全く無い。


どうやら、留守みたいだ。


「何処に行ったんだろう?」

「おそらく…」


こんな時、彼女が行きそうな所に少しアテがある。


はぁ、入れ違いにならなきゃ良いが…


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??side


失った物は戻らない。


欠けてしまった物は二度と埋まらない。


私は今、それを実感していた。


知らない間に、彼とは違う人と結婚していた。


理解わからない間に、彼との間じゃない子供達を産んでしまっていた。


そして、何より…


彼は…


「どうして、死んじゃったの…」


無惨にも、死んでいた。


交通事故に遭ったらしい。


つまり…


「私は約束を守れなかった。」


神様、これは罰なのですか?


知らずとも、約束を破ってしまった私への…


「ごめんなさい…」


穢れてしまってごめんなさい。


貴方と共に歩めなくてごめんなさい。


貴方が死んだのに、のうのうと生きててごめんなさい!


「もう、無理ね…」


此処は海の近く…


…なら、飛び込めば私は終わり。


「ちょいと、待ちなお嬢さん。」

「え?」

「また死のうとするのか?イジメられていたあの時の様に。」


それを知ってるのは…


…ひーくん、人識だけの筈!?


私は急いで振り向いた。


其処には、背の低い男の子が立っていた。


おそらく、小学生か中学生な子。


でも、私には直感的に理解わかった。


顔も体格も匂いも違う。


でも、でも、この存在は…


「会いたかった、ひーくん!」

「ああ、俺もだよ陽葵…」


間違いなく、私の幼馴染だと。


続く

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