第21話 彼の決意と彼女の理解

第21話


「はぁ、何のつもりだ!?」

「まさか、アンタお母さんのストーカー!?だから、名前を知ってたのね!私達は懐柔されないわよ!」


あっ、ヤバい。


完全に言葉を間違えた!


これじゃ答えてくれそうにないな…


仕方がないか…


「うーん、すまん。俺が悪かった。自分で調べるわ。」

「そんな事、させる訳がないだろ!」

「そ、そうよ!何するつもりなの!」


と、男の方が女の方を庇い、二人して俺を睨んでくる。


はは、懐かしくて忌々しい光景だなぁ…


何処までそっくりなんだよ、コイツ等…


だが、今度は諦めない。


嫌でも居座ってやるさ。


「安心しろ。離婚云々はどうにもならんが、問題の解消はしてやるから。子供は安心して待っておけ。」


と、彼等の頭を撫で、この場を去る。


本当は彼女と俺の子供達にそうしたかった。


そうじゃなくても、彼女の子供達には同じ事をしたかったのだ。


うん、夢が叶うのは良い事だ♪


さて、少しアテを頼るとしますかね…


「もしもし、真宵?お前…」


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双子side


「何なんだ、アイツは…」


変な奴だとは思っていたが、想像の1000倍も変な奴だった…


「お父さん…」

「は?」


私にはあの男の姿がお父さんと重なって見えた。


まるで…



「何言ってるんだ、お前?」


もしかして、あの男のせいで、気がふれたか?


「…大丈夫だよ、葵。」

「何がだよ、陽。」

「根拠はないんだけどね。お母さんは大丈夫だよ。多分、本当はアッチなんだ。」


本当に根拠は無いのだ。


でも、本能的に理解わかってしまった。


それ程まで大きな背中に見えたのだ。


まるで、頼れる大人の様に…


…まぁ、本人の背は小さいが。


「って、そんな事をしてる場合じゃない!早く追いかけるぞ!」


もう訳が解らんが、何かを奴がする前に何とかしないと…


「ダメ、葵。」

「はぁ!?」

「私達が何かをしても、多分余計なお世話。」


多分、だけどね。


私はよく鈍感と言われるけれど、それだけは理解わかる。


「見守ろう。多分、私達に出来るのはそれだけ。」


だから、頑張って…


…お母さんをお願いします。


「ったく、お前がそうなったら引かないのは解ってる。だが、アイツが何だって言うんだよ!」


目下の所、ストーカー候補だぞ?


「だから、根拠は無いんだってば。」


唯、魂レベルで理解わかるのだけなのだ。


続く

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