第16話 過去の面影
第16話
地元に帰ってから、二年が経った。
あれから、暦の情報はない。
中学生の俺が出来る事は限られているし、嫌がる真宵に調べさせるのもアレだしな…
つまり、詰みである。
だが、進歩はあった。
「あっ、少し反応してる!やった!」
「こら、大声でそんな事を言うな!」
ほんの少し、本当に少しだけ反応する様になった。
妹と再会したのが良かったのだろうか?
それとも、秘密を打ち明け余裕が出来たからなのだろうか?
まだ万全とは言えないが、1ミリでも状況は良くなったのだ。
今度こそ、今度こそは…
「俺は約束を守ってみせる!」
誰にも邪魔はさせない。
だから…
「どうしたの、たーくん?」
「いやぁ、俺は嘘付きだなぁって…」
「今更じゃん、本当にどうしたの?」
「ふふ、何でもねぇよ。さぁ、学校に行こうぜ?」
…雫は誰にも渡さない。
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「おい、巧望。今日、例の転校生が来るらしいぞ。」
「えっ、何だそれ?雫、知ってたか?」
「知らない!興味ないもん!」
「お前ら…」
3年になった事で、俺と雫は(ついでに仲良くなったモブ君)同じクラスになった。
朝のHRが始まるのを待っていると、モブ君がそう言ってきた。
いやぁ、全然知らなかった。
最近はいつ妹が遊びに来るか、いつ雫と遊ぶかしか考えてなかったからな…
まぁ、かなりどうでも良いのが本音だし。
「はぁ、お前らだから別に良いか。実はな、双子らしいんだ。しかも、男と女の。」
「へぇ、そうなのか…」
「ふーん。」
別にどうでも良いし、面倒をかけてこなければ良いな位しか思う事が無いな。
それに俺には…
「本当に興味無さげだな、巧望。」
「俺、転校生に良い思い出ないし…」
「えっ、たーくん?転校生に関わる事なんて…」
「前の方。」
「あっ、そっちか!」
「お前ら、何の話してるの?」
「「ナイショ!」」
「お前ら、本当にお似合いだよチクショウ!」
あらら、怒らせちゃった♪
そんな茶番をしてると、丁度先生が教室に入ってくる。
そして…
「はい、静かにしろお前ら!知ってると思うが、今日から転校生がこのクラスの一員になる。ほら、入って来い。」
と、教室の中に二人の男女が入ってくる。
だが…
「………………………………………………えっ?」
…俺は固まってしまった。
だって、彼等の姿は…
「陽葵…高崎……」
…前世の幼馴染と、俺から幼馴染を奪った男に瓜二つだったのだから。
続く
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