第15話 溢れ出る感情
第15話
「うん、やっぱり聞くよね…」
「当然だ。俺が知りたいのは現状だ。」
そして、過去の因縁にケリを付ける為でもある。
それが関係なくても、知りたい事がいっぱいなのだ。
実家の猫がどうなったとかな…
「お兄ちゃんが死んだ後、私達はあの胸糞悪い物を見つけたの。」
「なっ…そうか。すまん……」
「お兄ちゃんが悪い訳じゃないわ。全部、あの女が悪いのよ!あの女、どの面を下げて葬式に出るつもりだったのよ!あんな裏切り方をしておいて!本当に信じられない!何で、何で、そんな女ばかりなのよ!どいつもこいつも、お兄ちゃんを裏切って、傷付けて!何が楽しいの?お兄ちゃんが悪い事でもしたの?全員何でのうのうと生きてるのよ!死ねば良かったのに!何でお兄ちゃんが死んで、アイツ等が生きる事を許されてるのよ!」
「落ち着け、真宵!」
「あっ…」
一気に吐き出し始める真宵を抱き締め、頭を撫でる。
コイツが興奮して暴走しかけた時は、何時もこうやって宥めていた。
まさか、転生しても同じ事をするハメになるとはな…
「ああ、お兄ちゃんだ!顔も身体も、匂いさえも違うのに、心の底からお兄ちゃんを感じる!ありがとう、お兄ちゃん!帰ってきてくれて、ありがとう!」
と、宥めるつもりが、逆に泣かせてしまった。
まいったな、こりゃ…
「あ〜あ、たーくんが泣かせた!」
「うるせぇよ、雫。ていうか、文句言わないのな。普段だったら、絶対に鬼化するだろ。」
「この娘は私の義妹ちゃんだから良いの!」
「聞こえてるわよ!誰が義妹よ!」
おっ、思ったより、復活早いな…
流石に大人になっただけはある。
何だか感慨深いな…
出来るなら、生でその様を見ていたかった…
「すまんな、真宵。泣いてる途中で悪いが…」
「…何、お兄ちゃん?」
「今、暦は何をしている?」
「知らない!あの間男とでも宜しくしてるんじゃない?」
そっか…
真宵は怒っているが、嘘を付いている様子は全くない。
本当に知らないのだろう。
さっさとケリを付けたかったのだが、フリダシに戻ってしまった。
まぁ、真宵と再会できた事自体は嬉しい事だ。
「…真宵、そろそろ俺達は帰るつもりだ。だから、連絡先交換しないか?」
「する!絶対にする!」
「私ともしようよ、義妹ちゃん!」
「えっ、嫌だけど…」
「一応しときなさい、真宵。」
「うん!一応、仕方なく、渋々、嫌だけど、我慢して、苦渋を飲んで、地獄に堕ちる気分だけど、交換してあげるね♪」
「ありがとう、優しい子だね。良い子、良い子してあげるね♪」
「はは、ほざけよ泥坊猫?」
「きゃ〜反抗期かな?」
こ、怖い…
俺、選択肢を間違ったかもしんないなぁ…
続く
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