第14話 例え今は違えど可愛い妹

第14話


「はぁ?何訳解んない事を言ってるのよ!それに、何処の馬の骨か解らない奴がお兄ちゃんの名を騙るな!」

「やっぱり、そうなるよな…」

「普通そうだよ、たーくん…」


そうなると、お前が普通じゃなくなるぞ?


いや、普通じゃなかったね…


まぁ、良いさ。


こうなる事は折込済だ。


奥の手を使ってやるさ…


「信じないのならそれで良いよ。3歳の頃にオネショして泣いた話とか、俺が実家を出るまで一人で眠れなかった事とか、10歳の頃まで一緒に風呂に入ってた事とか、雷が振ると抱き着いてきて丸くなるとか、誕生日や特別な日にはキスを強請ってきた事とか、俺が彼女を作るまで結婚すると言って聞かなかった事とか、学校ではずっと俺の話しかしてなかったとか、初めて初潮が来た時にも泣きついて…」

「解った!解ったから、もうやめて!」


と、その言葉と共に、高速の拳が繰り出される。


「ぐぼっ!?」

「流石に自業自得だよ、たーくん…」


うん、やり過ぎたよ…


ていうか、意識が…


「あっ、ごめんなさい!」

「だ、大丈夫だよ。だから、そんな顔をするな、マーちゃん。」

「その呼び方、その撫で方…」


大きくなった真宵の頭に手を乗せ、撫でてやる。


そして、俺は完全に気を失った。


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「ああ、知らない天井だ…」


今度はちゃんと言えたな…


前に思った時は赤ちゃんだったからな…


「起きた!起きてくれたよ、お兄ちゃん!」

「もう、今は他人なんだから、たーくんから離れてよ義妹ちゃん!」

「はぁ、年下の癖に生意気ね!」

「結婚すれば逃れようなく義妹になるんだから、良いんですぅ!」

「「むぅ!」」


成程、これがヴァルハラか。


よし、邪魔するのは悪いから寝るか…


「あっ、寝ないでお兄ちゃん!」

「こら、逃げないでたーくん!」


と、両腕をホールドされる俺。


しかし、大きくなったな…


背は俺より高いのは勿論、胸の脂肪まで大きく柔らかくなってやがる。


まぁ、俺の記憶がまな板真宵のままで止まっているのもあるが…


「何か失礼な事を考えてない、お兄ちゃん?」

「いや、全く…」

「嘘だ!!嘘付いてる時の癖が一緒だもん!」

「本当だ、嘘付いてる時の癖してる…」

「マジか…」


どうやら、俺の口論の自由はないらしい。


ていうか、よく見てるなコイツ等…


…何か、少し嬉しい。


絶対に本人達には言わないが…


「それはさておき…」

「また話反らした…」

「昔からそんなのよ、お兄ちゃんは…」


そこ、黙らっしゃい。


俺には聞きたい事が沢山あるんだ。


「真宵、お前には酷な話かもしれない。だが、教えてくれ。」

「…良いよ、お兄ちゃん。」

「ありがとう…俺が死んだ後、何があった?」


続く

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