第12話 久しぶりの地元

第12話


電車に揺られ、一時間。


俺達は(前世の)俺の地元に辿り着く。


「うわぁ、微妙に田舎!」

「昔からだ。一応、近くに高校もあるし、電車やバスを使えば数分で大学に行ける。」


要するに、中途半端なのだ。


「しかし、よく信じてくれたな…」

「たーくんだもん♪それに、昔から一緒に寝てると『暦…』とか、『陽葵ひまり…』とか呟いてたし…」

「そうだったのか…」


しかも、の名前まで呟いてたのかよ、俺…


とっくに振り切った過去だろうに…


はぁ、つくづく俺はついていないな…


「で、陽葵って誰?」

「…知らない人だよ。もう、な……」


そう、俺にとってもう彼女は知らない人だ。


勿論、彼女にとっても…


だから、もう俺と彼女の道が交わる事は無いだろう。


もう二度と、絶対に…


「ふーん、じゃあ、聞かないであげる♪」

「ありがとう、雫。お前は良い女になるよ。俺が保証する。」

「うん♪そして、約束通りたーくんのお嫁さんになるね♪」

「そうだな。約束は守るよ。」

「わーい、やったぁ♪……えっ?今さっきもう一度言って!さっきの!リピートアフターミー!」

「残念ながら忘れたな。俺は3歩歩くと発言内容を忘れちゃうんだ。」

「嘘つき!」

「はは、自覚があり過ぎて困るなぁ。」


まっ、さっきのは…


「さて、先ずは何処から行くか…」

「あっ、話反らした…」

「いいだろ、もう。…アソコから行くか。」


と、ぶぅぶぅ言う雫を連れ、目的地へと向かう。


其所には…



「へ?此所なの?普通の横断歩道じゃん。」

「此所が俺の死んだ場所なんだよ。ほら、彼処に花が供えてあるだろ?」

「あっ、本当だ…」


毎回誰かが替えてくれているのか、綺麗な花が供えてある。


後で調べて知った話だが、あの事故は本当に偶然だったらしい。


何でも居眠り運転だとか…


…本当に最悪だな。


そんな事を考えていると…


「何で来てるんですか!何度も来ないでくださいと言いましたよね!」

「で、でも…」

「ふざけないでください!今更、虫が良すぎるんですよ、この裏切者が!」


聞き覚えのある声が聞こえてくる。


その声が聞こえてくる方を見ると…


真宵まよい…」


其所には俺の妹…


…前世の妹である一崎 真宵が誰かと口論していたのであった。


続く

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