第8話 真正面から
第8話
この日全ての授業が終わり、放課後となる。
今日は図書委員の仕事があるので、雫を先に帰りさせた。
アイツ、絶対に終わるまで待とうとするのだ。
しかも、大体校門前でだ。
今のアイツは超絶美少女なので、人たがりが出来る出来る。
この前なんか蜂球かと思ったくらいだ。
しかも、全部男子。
お前らは人間版アバドンかよ…
日本だと北海道しか被害だしてないのに、よくやるよ全く…
「別に誰かと付き合うのは良いんだけどなぁ…」
だが、やるならちゃんとした純愛をして欲しい。
打算も下心も別に悪くはないのだ。
だが、ちゃんと彼女を見て、愛してくれる存在じゃなきゃ駄目だ。
…恥ずかしいし、アイツには一生言わないが、俺にとっても大切な存在でもあるのだ。
アイツには恋愛関係で苦しんで欲しくはない。
脳が破壊され、無情になって欲しくはないのだ。
俺なんか未だに立たないからな…
精通自体は年齢的にしてるんだろうけどさ…
「まぁ、一番傷付けてそうな俺が願うのも矛盾してる気はするけどさ…」
世の中、ままならない物だ。
好きだった彼女に裏切られ、寝取られた。
そして、無惨に死んだ。
その上、第二の人生という追い打ちだ。
「はは、死は救いなんて嘘だな…」
死んでも人生は続くみたいだからな。
クソくらえだよ、本当に…
…はぁ、回想も此処までだ。
もう面倒だから、直球に…
「さて…出てこいよ。此処は図書室だぞ?かくれんぼする場所じゃなくて、本を読む所だ。」
先程から、コソコソとしている奴にそう告げる。
すると、隠れていたのが嘘の様に堂々と姿を現し…
「お前、雫ちゃんの何なんだ?」
「いや、お前こそ何なんだよ。」
アイツが雫呼びを許すの、家族と俺だけだぞ?
コイツがそう呼んでる時点で雫エアプ野郎だ。
まず、雫検定5級に合格してから来いや…
「お前みたいな陰キャは彼女に相応しくない!」
「出た、ラブコメで出てくるDQNのテンプレ発言ランキング常連!前の人生も似た様な事を言われたよ!…はぁ。」
「何勝手にバカにして、勝手に落ち込んでんだお前!情緒不安定か!」
「良いね、そのツッコミ。君、某海賊漫画のモブ適性あるよ。」
「そんな褒められ方しても嬉しくねぇよ!」
いや、似合ってると思うよ。
「うわぁぁ!」って吹き飛ばされてる役とか…
「まぁ、本日は図書室も閉店ガラガラです。何か言いたい時は次の機会を。」
「なっ、まだ終わって、力強っ!?」
と、俺はこの謎の男子を襟首を引っ張り、外へ放り出す。
ポカンとしてる奴を無視し、鍵を締め、帰る準備をする。
「じゃあな、見知らぬ坊や。今度、それを言う時は雫と一緒に居る時に言ってこい。真正面でぶつかってくるのなら、俺も一応は認めるさ。」
雫本人がどう思うかは別だけどな!
続く
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