第6話 そして、彼は…

第6話


暦に似た人織ちゃんと遊ぶのは楽しかった。


かつて、暦とデートに行った時を思い出してしまうからだ。


どうしようもなく、楽しかった思い出が溢れてしまう。


ああ、泣きそうだ。


最悪な最後を迎えたのに、俺はどうしょうもなく彼女を愛している。


何で、何で、お前は俺を…


「大丈夫だよ、巧望くん!」

「えっ?」

「いい子、いい子。泣かないの、男の子でしょ?」


気が付けば俺は泣いていて、人織の奴に撫でられていた。


クソっ、ガキに慰められるとか恥ずかし過ぎる!


しかも、暦似の女の子にだ。


恥ずかしい…


こんなに恥ずかしい目に合ったのは、暦に女装させられて、そのままヤル事をヤらされた時以来だ!


「お姉ちゃんが慰めてあげるからねぇ…」

「だ、大丈夫だから!は、離して!」

「むぅ、無理しなくても良いのよ?」

「む、無理してないから!」


やめろ、その顔で抱きつくな!


撫でるな!いい匂いをするな!


はぁはぁ、俺はロリコンじゃない!


えっ、年齢的には問題ナッシング?


(精神)年齢的には問題大アリだろうが!


「あれ?もうこんな時間だ!早く帰らないとお母さんに怒られちゃう!じゃあね、巧望くん!」

「ああ、じゃあな。」


と、慌ただしく帰っていく人織。


「はぁ、疲れた…」


だが、また会いたいな…


そう思っていた。


でも…



……それ以来俺達が出会う事は無かった。


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???side


「実験は成功。これなら、私自身も試して良いかもね。まっ、私が失敗しても、が何とかするしね。」


しかし、良い実験材料を見つけた物だ。


偶然、死にかけている少年を見つけた。


偶然、不幸な目に合っている存在を見つけた。


偶然、純愛に満ちた尊き生物を見つけた。


なら…


「利用するしかないじゃない!」


全ては私の為、いや、彼の為!


しかし…


「魂という物は厄介ですね。未だに抵抗して、彼を甘やかしてしまう。」


本来なら実験動物である彼には、それ以外の情も感情ない。


だが、ついついこの元の身体に引っ張られてしまう。


だが…


「…まぁ良いでしょう。順調に進んでいるのですから。」


私を監視、阻止できるのならやってみろ!


私は不滅だ、穢れた身であるのにも関わらず、彼の寵愛を受けているのだから。


「どれだけお前達が抗おうと、此処から先は…」


…私の独壇場セカイです。


続く

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