第14話 罪

前に座る風月さんを探ってみることにした。

本当にあの風月なのか、それともただの杞憂か。


「風月さんは父上に拾われる前から冬の国に居たのかしら?」

「はい。元は別の国にいましたが、故郷から離れてからずっと冬の国で暮らしていました。」

風月は寒いのが嫌いだったはず。

指定なんかされるのは上位貴族だけだ。

指定される場所で罪の重さも大きく変わるが、風月ほどの身分の人は基本、野に放つだけでも大変でそれ以上の罪は問わない。


「月雫様はあまり冬の国へ訪られたことが無いから不安でしょうね。評判の良い国ではありませんし。しかしご安心してください。冬の国は観光のみに向いていると思われがちですが、決してそのようなことはございません。良い国ですよ。3年住んだ私が保証致します。」

「それは安心したわ。」


この人はペラペラと口を動かすな。

風月はお喋りでは無かったはずだ。

うーん。


「月雫様、風月さん国境を超えました。完全に冬の国です。」

キリがそう伝えた。


春の国へはもう行けない。もし1度でも足を踏み入れてしまったら、私は次こそは殺されてしまうだろう。


4つの季節の国は繋がりを強く持っており、罪を破ることは許されない。


罪人はまず罪を渡される。しかし、そこでは決して死刑や無期懲役などを言い渡せれない。

それはまだ前段階であるためだ。

罪を犯した人はその人に合わせた特別な罰が2つ言い渡される。

私の場合は冬の国を住居にすること、春の国へはもう訪れてはいけないことだ。


それぞれしっかり意味がある。

冬の国へ住居を移すことは、まず陽葵に近づかせない意味合いが強いだろう。

陽葵は国民に愛されている。国王様にも家族にも。そのため脅威は遠くにさせなければならない。だから最も端っこ、春の国から離れた地。

それに冬の国の端っこはとても寒い。冷酷な私の心にぴったりと噂をしていたな。

国王様はそんな阿呆では無いと思うけど。


春の国への出禁は、罪の中で最も重い罪だ。

この国では故郷を大事にして、そして春の国は大陸的に人気の高い国。

季節の国で差別が無いように、平等を元にシステムされている。

しかし人が集まる国と集まらない国での対応差が一切ないというのはありえない話だ。

しかもキリが居なければ、そして国王様が居なければ、自分1人の身でなんとかしないといけなかった。

国王様は住居を与えて下さり、キリは使用人と足を用意してくれた。


これは1週間前に罪状を伝えられ、どうしてその罪になったのかよく考える。そして処刑式が開催され、私も周りの国民も反論や賛成全てを枠にとらえかんがえる。

そして罪状を確実に決定する。


次の段階は破らないことを守っていれば大きな問題はない。

しかし破ったり、新しい罪を重ねてしまうと、殺される危険性の高いものや、生活の拘束が始まる。

この方式をゆっくりと重ねていく。


これは冤罪などを防ぐこと、そして国防がお互いでしっかりしていて、国同士の連携を保てているため、人殺しが殆どないことが原因である。


だから私も計画で罪に重ねている。

この国同士はそれほど結びつきが強いということだ。


「風月さんは私が春の国へ行きたいと言ったらどうする?」

「月雫様の無罪放免を春の国の国王様に訴えてきます。そして納得されたら行きましょう。」

風月さんはお花畑だ。

「キリは?」

「お運びしません。しかし変わりに、夏の国と春の国の国境の街にお連れします。」

キリはそう運転しながら言った。


もう道なみを進んだからだろうか。

本当に冷えてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る