第三章 エピローグ
そうして、一折り終わった後、イカルガを呼び、さらには説明を終えた。
そして、どうすれば強くなれるのかとイカルガに聞いたところ、やはり流通都市に行くのがいいということで話がまとまった。
どうやら流通都市には、珍しいアイテムや、それに伴う強い敵がいるということなのだ。
そして、流通都市にいる守護獣というのが水龍。
簡単にいえば水の中にいるドラゴンが流通都市にいるというものだ。
また、イカルガが言っている嫌な予感というのがある。
それは今回のドラゴンゾンビの元となっているのが、もしかすれば次の水龍候補、所謂現在のイカルガに怒られていたあの、ナルスみたいなポジションのものが使われてしまったということを考えるに、もしかすれば水龍自身にも何かが起こっているのかもしれないというものだった。
だからこそ、僕たちはとうとうというべきか、砦の外に来ていた。
「なんだか、いろいろあったね」
「そうですね。気づけばアカリさんも合流してますしね」
「ごめんね、なんか大変だったみたいだね」
「そうなんだよ、アカリー」
「は…この感触いい…」
アカリさんもやはり変態なのか…
そんなことを思いながらも、イカルガとの話や、ある程度の砦での調査を終えた僕たちはアカリさんと合流し、さらにはイカルガからの書状を受け取ると、砦を後にしていた。
ここからは流通都市まで馬車に揺られて、なんていうことをなんとなく考えていたけれど、そういうわけではないらしい。
すでに日が落ちて暗くなっている道を、僕たちは歩いた。
というのも、時間が違うので、現実ではまだ夕方前くらいだったので、誰も眠くなるということがなかったのだ。
そして、馬車も砦があの状況だということを考えても、流通都市側にいた人たちは、どこに行ってしまったのか誰もおらず、そして噴水のあたりにあったあの卵もなくなっていたのだ。
本当に、何もなくなった場所という風になってしまったので、そもそも馬車を走らせてくれる人がいないので、どうしようもないのだ。
だからこそ、徒歩で向かうことになってしまったという感じだ。
「大丈夫ですか、疲れていませんか?」
先頭を歩きながらも、後ろを見てそう声をかけるが、皆は何も言わない。
ただ、歩みを止めないが、シズエさんが口を開く。
「ねえ、マヤやん。これからどうなるのかな?」
「えっと、それは…」
「マヤ様。私は逃げることを推奨しますよ」
シズエさんとレイラさんがそう口にする。
わかる。
ドラゴンゾンビという存在だけでもヤバいのではと思っていたのに、それにインコが融合したのだ。
ああいう、意思を持たない、ただ殺戮のためだけに作られたドラゴンは、意思を持たないというところが一番の弱点なのだ。
それが意思をもってしまうということは、確かに危険だった。
逃げれば安全…
そう言いたいことも確かにわかるが、絶対ということがないということも知っている。
現実世界でもそうだ。
絶対大丈夫なんてことはないのだ。
だからこそ…
「迎えうつんでしょ、マヤ君」
ノエさんが、こちらを見て、そう口にする。
その瞳は、あのときとは違い、不安とそれでもできるという闘志のようなものが輝いているように見えた。
僕も思わず笑顔になる。
そして、言いたいことを口にした。
「そうですね。戦わないでいいのなら戦いたくはないですね。それでも戦うしかなかったときに、このままでは全員が全滅してしまう、そんなことだけはないように、さらに強くならないといけないと思うのですが、どうですか?」
「ふふふ、マヤ君ならそういうと思ったかな」
「ちょっと、急に正妻みたいなアピールしないでよノエ…というか二人っきりでいてから仲良さが増してる」
「そうですよ、シズエが最大のライバルになると思っていたのに、気づけばノエもなんて、私のご主人様なんですから」
「おお…ここはあたいらも加わっておくべきかな?」
「おい、俺は男なんだよ、巻き込むなよな」
そんなふうにしてがやがや、わいわいと僕たちは話をしながらも流通都市に向かって歩いた。
その後に起こることなどをまだわからないまま。
そして二週間後のいつくるかわからないドラゴンゾンビという敵に対抗するためのことを考えながら…
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