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「ややっ、ドーナツ三つ!それにトマトにキュウリまで!

ああ、ああ、それじゃあ腹だけじゃなくて体全体冷えてしまうわいのお」

うるさい。静かにしてほしい。私が恥ずかしさを捨てて書きなぐっているそばから声に出さないでよ。

でも、ヨボヨボに反発したら、何をされるかわからない。耐えるんだ、耐えるんだと自分に言い聞かせる。


「若いから食欲旺盛なんだねえ、いいこった。だが、ちいっとやりすぎだねえ……」

ヨボヨボの青白い顔に少し赤みがさして、さっきより不気味になった。

これからしばらくの間、この人と生活をともにしなければならないんだと思ったらズキリと胃が痛んだ。

「お前さんは、もともと胃袋が小さかった。それをむりやりに大きくしてしまったんだ。分かるかい?

だもの、胃にも腹にも過剰な負担になるわけってこった」

「ううっ……。はい、おっしゃるとおりです」


そうか、こうやってわざと胃が、耳が痛くなるようなことを言って、これまでの生活がいかに無茶なものだったかを反省させるって仕組みなんだ。

そう思ったら、心にジワジワしたものが広がった。

この前見たテレビでも、生活習慣びゅおを未然に防ぐための生活スタイルについて特集されていた。

家族で見ながら、我が家も気をつけなくちゃねって話していたっけ。

その番組では、痩せていても内臓脂肪が多いとだめなんだって言ってなかっただろうか。

「お前さんは勘が鋭い。今この段階で反省の気持ちがあるなら、きっと大丈夫だろう。

すぐに大好きなおばあちゃんのもとに帰れるよ」

ヨボヨボの手が、私の背中を優しくなでた瞬間、抑えていたものがドドーッとあふれた。

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