2-1
「さあさ、こちらへ」
ヨボヨボした手が私を手招きしてる。
顔も青白くて、今にも死にそうな感じだ。
「こちらに名前を書いて、箱の中からバッジを取って胸に付けなさい」
いったい、ここはどこなんだろう。
よく見るとほかにも青白い顔の人が2、3人いるし、1か月間何も食べてないんじゃないかというくらいやつれた人もいる。
「ここに来たからには、しっかりと体を労わってもらいますよ」
「は、はあ……。でも、家族を残してきちまったんですわ。
どうか、どうか、明日には帰してくだせえ……!」
「それはあなたの体次第ですな、ほっほっほ」
ヨボヨボした声でそんなことを言われても説得力がないのだが、どうやら大変なところに来てしまったようだ。
「ここハランドゥル王国では、あなたたちがこれまでの生活でおなかにしてきたことをしいっかりと反省していただくことになっておる。
だから、食事は毎食体に優しいもののみじゃ。買い食いもつまみ食いも厳禁とする」
ハランドゥル王国……?
そんな国、地球上にあったっけ。
名前もなんだか気が抜けそう。
「さあ、そこのお嬢さんも早く名前を書いてこちらへ」
このヨボヨボが言うことは絶対のようだ。
言われたとおり、急いで名前を書いて、バッジを一つ左胸に付けた。
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