20.過去・後 ゠ 偽善と融合の話
そうか、私は
考え至って自己
「みんなで笑おう、って。そう
もうただ、
「いや、すまない。本当にすまない。それは私の、若気の至りだ」
「そう、なんですか?」
納得行かなげに、少女は首を
まったく
きっと良い事がある、明るい未来が待っている。
それを、その良い事とやらに
苦しみ抜き、精神すり減って、立ち上がるのもやっとか、という者が。
そんなような
これでは
差し迫った危険が無いように見えたとしても、
こんなでは、励まされるどころか救われるどころか、必要な物が
そんな現実を
そんなものは、
受難者とは、何ひとつ解決しないような聴こえのいい
命だけ
本当に死んでしまったほうがはるかに
仮に、所有しているかぎり
自分に危害を加えつづける者がそこにいて、どうやっても
そんな絶望的な状況に
絶望とはそうやって、真に本当に、死にたいと人に
死にたくない、死ぬわけには行かないと思っていれるなら、それはまだ絶望などでは
逆に、死にたいのならば
などという、
それ以上の苦痛になどもう耐えれない、そんな状況に追い込まれてしまっているのが受難者だ。
だったらば果てる直前に、極限の苦痛が予想される自害になど、とても及べるはずが無いだろう。
自分では踏み出せないからと、死罪を目当てとして
そこまでの事を実行してしまうまでに、味方に恵まれず
それを、それをだ。
死ねばいいのに、とは。
いったい、何事か。
こんな最低の、人間性なき
つまり人は、命のみに
もっと言えば、
そこまで至らなくとも、精神の壊れてしまった者が健常を取り返すのは、事実として
そんな状態で幸福の
命だけ
要するに、ただ生きろと言うのは非常に
絶望の経験がないゆえに程度を楽観視し、相手に寄り添った考えを
少なくとも博愛とは間違っても評せないであろう、自分
親切、思い
救われるべしと願ったのなら、
私がこの手で、この少女を救わねばならなかった。
それを
しかし、どんな心積もりだとしても、結局に動かないならただの見殺し。
本当は救われたらいいと思っていたのだ、などという言い訳は、なにかと理由をつけて行動しなかった事実を
そちらのほうが余程に、罪深い心積もりではないか。
そうやって人は自身の認識を、その心を
そう
「でも、そのおかげで今、私は
しかしそれで、気は晴れない。
「それは結果的にそうなっただけだ。私の力じゃ
「いえ普通、自分の命には、自分で責任を持つものですし。私が
そんな
ところで、
そうも思う。
しかしその間、このような少女と出会った
こうまで昔の話だったとなると、少女のその見た目から年齢を推定するかぎり、当時にはほんの小さな
だとしたなら、その姿も現在と大幅に違っていただろうから、あるいは私に
現実の苦難から
死という物がおそらくそれを
確実かつ極力苦痛なく、これへ至れる手段を選び出し。
そして死への恐怖にうち
そんな込みいった行為へと、幼児が及んでしまうというのは、そうそう有ったものとは考えがたい。
とすれば、だ。
ほかにも思い当たる
あるいはこの少女、姿のままの
「ああ、でもそうですね」
またも突っ込んでみたい部分が出てきてしまったわけだが、それより先に少女のほうから、別の話を始められてしまった。
「うん?」
「こうして私が
「何の事だ?」
「ええと、そうですね。戦前でも
「ああ、そうだな」
「私、それを無くしちゃおうって
「……」
いま、何程もないように、
そんな、天使たちの大部分すら考えようともしなかった事を、この少女は実行しようとしている、と言うのか。
「ただ、同種族のうちでも
「……」
はて。
少女が何を
そんな、答えがすぐそこまで
「具合の良いことに、天使と魔族を掛け合わせたとき、生まれくる子供は
「! ……」
この戦争について少女は、相手を極力殺さないことに意味が
くわえて、魔王軍はうち破った天使軍を丸ごと収容している、とも言っていたし、収容場所についても
あまつさえ、その天使たちの事をも、
「お前、まさか」
「はい」
返ってきたのは
「それは、
いやはや。
つまり全天使と全魔族で、
それによって全部を、
結果として、不和
そんな計画だとは。
あるいは同様のことを考えついた者は、他にも
しかしそれを実行せんというのは、それもある程度着実に事を進めれているというのは、途方も
神魔
このやり方であれば、いずれかが滅亡させられるわけでも
実現すれば限りなく穏便に、
とはいえ、こんな話を天使側へふつうに
彼らが現在の地位を、既得権益を、
どころか、魔族がのこらず死に絶えればよい。
それくらいの事は、平気で言い
魔王だから、
「うむ、いや。お前は、なんというか」
「はい?」
率直な感想を述べた。
「ちゃんと、王様だな」
少女は
「案が
「だけとは言うが、前のふたつが
「私の場合は、
「それは?」
「……」
少女はやや上を向き、
そうして始めた少女の話がまた、要領を得ないものだったわけである。
「ちょっと、話が
「ああ」
「存在する、ってどういう事だと思いますか?」
「は?」
これまた一体、何の話が出てきたか。
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