18.資格・中 ゠ 証明と顛倒の話
「自覚は
「……それはいろいろ、
魔王に
確かにこれは、どう切り取っても悪い意味にしかならない。
自覚が無いと仮定してなら、それが
それで
こんな少女がどれだけ
やはり、どう切り取っても
「正直、信じきれてはいない。けれど冷静に考えれば、どちらでも私は困らないな。考えて確信を持てる話でも
「そう……ですか。すこし気が、抜けてしまいました」
「なんだ、
「ええまあ……そう、なんですけど。……これは
自分が自分である事は、自分にとっては間違えようのない事実。
だから
要は、
逆を言うなら、見合う条件さえ満たせれば、その証明は実際の
だから当然、他に紫の理力を発現できる者が登場したなら、理力の提示による証明方法は、立ちどころに
そして普通では、そんな前提すら
その
完全な照合など
これがこの魔王について言うなら、もっと絶望的。
天使側にはほぼ何も知られていないのだから、いったい何を提示されたらば、
その最初の一歩で、
少なくとも、唐突に現れて残虐のかぎりを尽くしたような者が
ただそれだけで、そのまま魔王だと断定してしまうのは、
あるいは
または、そんな暴虐な者なら裏付けが無くとも、そう呼んでしまって差し
そんな意見も
そういうところを
もしくは、本拠をねらった別働隊によって、壊滅の
そんなふうに、対応までをも誤ってしまうことに成りかねない。
名称とはそれくらい影響力が強いものであり、だから飽くまで決め付けは禁物。
私がこの少女を魔王と呼んでいるのも、
「それに、だ。
「え、はい? なんですか?」
「お前の話は世間話として、とても興味深い。だったら、お前が
「……」
──はふう。
その時少女がついた
「一応、断わっておきますよ? これから
そんな事を
そちらのほうが圧倒的に大事、そう
少女の心配するところもまた、若干的外れとも感じられたから、至っていい加減な返答をしておいた。
「きっとそれは、あれだ。お前に
「……それを言いますか……」
そう言わんばかりの
そう感嘆してしまうも、好き勝手のつもりは内心、否定しきれない部分が
ただ、助力をすると少女に約束してしまった手前、という事ももちろん
知略でも
よほどに幸運が味方でもしないかぎり、私には脱走の機会など無さそうで、服従するより
その観点では、行動に制限
だから私は、感じた疑問をそのまま口へ出すに至る。
「まあ、な。ああそれだ」
「はい?」
ちょうど、少女が目を通していたそれを、私が
イルベシラ
そう書いてある。
「
「そう、
──ペラリ。
少女のその処理速度は、
対し私は、
判を
それでも、表題を
ほかにも
確か、魔界でのそれを指す場合なら地方ではなく、区域という言葉が遣われたはず。
ちなみにそれが天界であれば、天使の住まう土地の
いずれにしろ、その支援等が魔界ではなく、人界において行なわれているという事を示していた。
渡された書類の文面を目で
「少なくとも人界に極力、被害を
そう言った私に、しかし
「いえあの、そこに首を
「当たり前の、こと?」
「はい。だってほら、私が
「! ……」
「だったらそこから、また新しい暮らしを始めるその準備だって、いくら
「……」
そんな事を言ってのけた少女は、それを受けた私の様子に途惑ったのか。
自信をだんだん失くしたかのように、弱々しい口調になっていったが。
私のほうには、そんな事に構ったりするような
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