12.研究・後 ゠ 手法と役務の話
少女が話を
「何かについて、
「だろうなあ。見た目がとにかく良いからな、あれは」
「ええまあ。だからそれを、
「ふむ」
飽くまでも、合理を
「あ、話は
少女がそう言いつつ、ちょうど自分の手にしていた書類を、
そうでない部分は暗いまま、魔王軍をしめす合字の紋様だけが明るく浮き出る。
「ああ、そうだな」
「だからそれを利用して、濃淡のある絵画なんかを透かしで表現できたら、って思ったんですけど、これが
──トン。スッ、トン。
「かいが?」
「はい。それこそ格式を強調できると思いませんか?」
「そうだな。ああ、良いかもしれない」
「ただこれが、思ったよりも難しくって。普通の透かしじゃあ、せいぜい文字が判読できるくらいの精度ですし。
研究している、か。
研究させている、ではなく。
「つまりまた、指示ではなく指揮をしている、と」
「ええ、まあ。あ、そういえば、今はちょっとよく見えないと思いますけど、窓に
「なに。それもお前なのか」
「はい。あ、いえ、私じゃあなくって私たち、ですけど」
透明な
現状としても、熱した
これ以外の方法では透度や光沢が、
そんな製法だから、面積の限界もまた
特殊な素材だ。
専門家に任せてそれなら、たとえば真っ平らな
実際のところ、
あるいは正確な平面が成形可能な、理力によって型を
そんな
これほどの
そうまで美麗な
「
「ありがとうございます。やっぱり
今は様子もよく
それはどちらかと言えば、自らの手腕を誇ってと
ふむ。
「しかしまあ、よく
「って、言われてもですね……」
そう突っ込んでみれば、少女のほうもなにやら
「ええとほら、どうでもいいような細かい部分でも、
「どうだろうな。そんな事は人によると思うが、私はまあ気になったりならなかったり、だ」
「そうですか。私は……大体のことが気になっちゃって
「それこそ、そう言われてもだがな」
まあそういう
「……これも
──ペラリ。
少女がまた書類を渡してくるが、いや違う。
そんな話では
王としての責務は、もっと
研究が詰まらない事とは言わないし、結果が出たなら
だが王とは基本的に、自らそういう事をしないものだ。
王がまず案ずべきは、自国の行く先。
そこへ直結するのは、為政と軍略に
そして並の人物であれば、その二項だけでもう既に一杯いっぱいであり、ほかの事へと気を周している
何かを片手間にしつつ、その相手を
だからこそ一般的な人族の国などでも、
そこへいくと、この少女は何なのだろうか。
目につく
本当に全部の事を、一手に引き受けている様子だ。
そんなではこの少女は、仕事量を持て余して
分業もさせないで、
もういろいろ、私には
「あ、
「……」
理解の
ついでに思うことも
それはつまりこの少女が、何がそんなに楽しくてこう生きているのか、という事だ。
あるいは研究に
しかしそれも、成果の挙がった場合に限定されるように思う。
こういった、小難しい考え事ばかり。
くわえて、仕事につぐ仕事。
そんなような事に明け暮れて、どう生き
──トン。スッ、トン。
それが
しかしその少女より言われるままに、またひとつ判を突いた。
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