4.腐敗・中 ゠ 強弱と血液の話
「……」
ふと、アンディレアのことを
あれは、何なのだろうな。
どうして
私に
いや
まあそれを言うなら私も、彼女から不利益を
まえに
そうして私の髪はいま、背中の
手入れも面倒だ。
ああもう、切りたい。
刈り上げたい。
──ふう。
いやまあそんな禁止令、律儀に守る義務ももちろん無いのだが。
そうすれば彼女は
なんとなく、破る気にもならなかった。
そうそれ、そういえばその、アンディレアである。
争いを基本好まず、普段は穏やかなあの彼女が、どうして戦いの場においてはその
実は私には、その察しがついている。
それは、こういった旅への同行を彼女に求めることが
あれはおそらく、虚勢なのだ。
自覚が
どうもアンディレアは、その肉体の
つまり争いごとを
その弱い部分を、気概のみで
そうして自身の
これは彼女のみに
悪い言葉を引用するならば、弱い犬ほどよく
もちろん、そういった
だから
だいたい、戦地でのアンディレアと言ったならそれはもう、獣王も
これにより
相手からしてみればあんなもの、もはやこの世の
見ていて正直、敵が可哀そうになってきたりもする。
とはいえ、これを本当の意味で強いと
そこは微妙なところだ。
そしてこれは、私の感覚で言うならば、
そう思うのは、そんな事では本当の
実際、相手に何を
そう割り
正直、なにか
そんな程度の感想を、せいぜい持つくらいだ。
つまり自分で言うのも
まあそれも単純に、
くり返すが万事同様、万能の手法などどこにも存在せず、結局は相手や状況による、という話に過ぎないだろう。
いずれにしても、そんなような人物には成るべく、それこそ危ないことなど
単なる
しかしそうすると、
それは私も、同じなのだろうか。
そして思い
だったらば利他など、単に弱さを
そういう事であるなら、本当の強さとは
もし本当にそうならば、孤高こそが至上であるならば、そんな強さなど
それが幸福などけっして
だいたい孤独である者など、群れが敵に回ればおよそ敗れるのだから、そんなものが最強であるはずが無い。
それに根本的なところで、そうやって強い弱いを判定できたとして、だからどうした。
それこそ、そんな感想へ
能力が基準たり得ないなら、それは果たしてほかの何かの足掛かりにでも、なってくれるものだろうか。
そして、アンディレアが気に
だとすれば、
そんな定義すら、可能にならないか。
であれば一体、強さとは、
話を単純化するなら、強いか弱いかはやはり相手と場合による、という事なのだろうが、だったらば強き者とは弱き者とは結局、どういう事か。
頭の中が愚茶ぐちゃだ。
自分が何のために何について考えているのかすら、もはや
つまり、私は
だから私は、考えるのをやめた。
まあそんなような、
しかしそれにしては、小麦畑が続くばかりで、民家が
と言うよりこれは、集落とはちがう方向へ来てしまっただろうか。
基本的に農村の道というものは、家と家、そして農地や牧地や水場、それから村外。
これらを
そう見込んでいたのだが、どうにも周囲の木々の密度が、
馬も
そろそろ休ませるべきだろう。
そう判断し、適当なところで馬を降りると、野宿を決めこむ。
べつに、する事はそれほど無い。
馬から
ここは人里近いから、獣
すぐそこに丁度よく、用水路も通されているし、草だって
そう、軍馬は
まあ順序としては、まず
このように
人と交わる
乱暴にあつかうは当然論外にしても、
甘っ垂れて言うことを聞かなくなったり、逆に
だからこれくらいの距離感で、丁度いい。
これなら……たとえば何か有って、私と
「お疲れ様」
──バルルッ。
馬は、ちょうど私のその言葉に応えるかのように、ひと
それを聴きつつ、すぐ近くの木の
その姿勢について、寝転んでしまっては
だが、本当に
だいいち私は、それでは休めない。
そも、人の
なのに、なおかつ
そして眠る際、なぜ人はその身を
そう考えたとき、思い浮かぶのはもちろん血液であり、これは
ゆえに
かつこれは、立ち上がれば頭部から
まあ真っ平らだと、頭に昇りすぎるからその調整のために、
立ったままでは眠った気がしないのも、精神力がよく回復しないのも、きっとそんな理由なのだろう。
なお話が少々飛ぶが、
血は
しかし、
そんな
実際のところ、人体の機序はさほど解明されておらず、何がどう作用するかも
だからどんな療法も、とりあえず
しかし、たとえ毒物を飲み込んだとして、致死性のそれでなければ時とともに持ち直すわけだ。
だったら人の肉体には、
どころか、せっかくの
そうとも疑われるもので、なのに皆で好んで流血しては悦に浸っているわけだ。
一体これはどう
本人の気が済むならそれでいいのかもしれないが、そのまま押し付けられると言うのであれば、さすがに
もっともそんな、血液がどうのという話を
あまり深い眠りへと、
ゆえに眠るとは、寝転ぶもの。
これ択一の私にとって、その際の姿勢をどうするかなど、無縁な話だった。
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