2.憂鬱・中 ゠ 軍隊と規則の話
それはそれとして、私の剣が特別視されているのには、実を言うとさらにもう一つ、理由があった。
それはまあ、自分で言うのも
いや、疑問符がつくのは
そしてその規律を、しかし私は
べつに軍規を、軽視しているつもりは無い。
ただ、任務上の課題につき当たり、そしてそれは私が単独行動をすることで解決可能だと踏み、しかもそのような機会が
だから私は、それらを実行した。
当然ながら、指揮官よりはきびしい
そんな実績が出来てしまうと、やはりその腕前は惜しくなるらしい。
けれども
よって……。
「おらあ、早くしろお!」
「はいっ!」
不意に何かが聴こえてきた。
見ると、黄金の理力による
どうやら集合が掛けられた模様だが、集まった人数からすればそれは小隊、黄金の彼はその隊長のようだ。
「
「はいっ、すみませんっ!」
「ったく
「あわわ、はいいぃぃい!」
ああ、可哀そうに。
ろくに得物の準備も
さっきまで決闘
──カシン! ギィン!
そうやって、唐突に
「あらあらうふふ。さすがは
「なるほど?」
このアンディレアが
それが状況に応じて、という事であれば
だから
数的に、軍の
そんななか、黄金の理力をもつ者らは、能力の比肩する他者にくらべて、出世の速度がたいがい高い。
それが恨み
なのに
そういった事を、彼女は言っているわけだ。
たしかに今は、戦いが終わって休息を
それを、手柄のがした
そんなような人物ならば、もっと広範囲へ影響を及ぼすような役目を任せたりは、
能力の
本当に無能な者は実際のところ、重役に
そも、軍勢というのは大規模であればあるほど、一丸と成ってということは無く、いくつかの師団や大隊、小班などの単位に分けられる。
理由は単純で、指揮を簡略化するためだ。
かといって全体をひと
そこで
そうして上官は下官たちへ命令をし、その下官は命令の達成に必要なことを考えて、さらにその下官たちへ命令をする。
そういう
そういう寸法だ。
ただし、そんな理想の組織が実際に運用されるには、指揮系統が
具体的には上意下達、
あわせ、その成立条件として下意上達、というものもまた
これを達成できなければ、下層における問題の数々が、解決されずに
構成員には不満ばかりが
つまり、頭の考えるとおりに動かぬを脚の失格と
上役に
だからそういった事のために、上がままに下の動かぬを律し、下がままに上の動かぬを律するために、軍規というものは有る。
要するに、成果だけはいくら挙がっていようとも、私のした行いは基本的に
もっとも、
にもかかわらず、それを完全なものとして無理に通用させるからこそ、看過されてしまう問題、というものがどうしても出てくる。
規律をどこまで
そして私の場合、建前を
結果……。
「ん」
ここで唐突に、自らの発現させた
「うん?」
「ほら、早くしなさいよ」
ああ、うん。
これはまあ、あれだ。
そういうやつだ。
私もまた、自分の発現させた
──カィン。
「不遇な隊長さんの尊き孤闘を、
「いや。そういうあれは、お
「うふふ、あなた
「
それで
べつに手数も無いし害も無いので、これが始まったなら私も
……まあ、そういう事だ。
私は
構成員は一名だけ、その名も特別遊撃隊。
どの連隊にも旅団にも属さない、存在目的も不明確。
そんな部隊への配属を、受ける
格は
いまさっき私が、あの彼らより目を
有りがたい事に、こんな私に味方してくれるような意見も
とはいえ、偉業を収めたから罰は無し、失態を犯したから賞は無し。
そんな裁定を
また、不手際な者にはどんな努力も
そうなるに決まっているわけだから、つまり
いかなる裁定でもそうで、
ちなみに賞については一応、適切に
腐っても隊長は隊長であり、おかげで私は給金には困っていない。
まあこの私に、財の貯め込むが
妙案を練ることの
そんな身にあまる話も出ないでは
自分には何が
責任を背負うも、
残念ながら私はそんな器では
つまり私は
ところがこのアンディレアという奴だけは、機会があれば
何をそんなに気に入られたかは
「ねえ、スィーエ。私ね」
「何だ?」
「あなたは、特別だって。思ってるの」
「ん?」
「あなたは
「また。
「でもね。その……
「それは、感傷だな」
「うん
「まあ、皮肉なものだな。
「知ってる。だから……こそ。ね?」
「……」
「武器にこんなこと、言っちゃ行けないのかもしれないけど……
「……」
「重荷? こんな感想」
「いや?」
「そう? よかった」
そんな
皆、
今の状態は、良くない。
相手が何であれ、
我々は、愛と
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