14.連中 ゠ 独善気質を処せるか
14.連中・前 ゠ 主張と欺瞞の話
「まあそれでも、研究分野のこれで、まだ
しかしその口が、つづけて開かれた。
まだ話は
「まだ、
「はい。ほかの分野だとこの辺の認識が、どうも甘いんですよ。特に、軍事や統治の分野だと、自己主張の激しすぎる者がたくさん
「自己主張?」
「問題を解決する事そのものよりも、その場での勝敗や優劣を競うことこそが重要なんだって、序列や
「ふむ。その場での勝敗、序列、か。まあ自己主張だな」
「意思決定の場で戦わせるのって飽くまで意見で、発言者じゃあ
「ああ。そのはずだ」
「ちょっとぐらい行き先が
「じんかく」
「はい。つまり自分は素晴らしい、自分が他より低く見られるのは間違ってる。自分は理解されるべき、自分の考えが通らないのは
「うん? それはなんというか、自分はどう思われているか、どう見られているのかという、
「ああそれは多分、他意識
「そうか。なるほど」
「それより問題なのは、その考え方ですね。だから意見が正しいことよりも、自分の意見が通ることを重視する。
「
これは、あれだな。
心当たりの
「つまりは意見を変えないわけですし、偶然一致しないかぎりは
「そうだな、あれは
「覚えが
「話せば
「
「ふむ、
「ですね。それから
「ああ、そうだなあ。お前の名前とかな」
「……や、そ、あの……」
素直であるとは、
キュラトーゼレネンティエーツェ、長いゆえにそれこそ
そしてそんなような私の様子を見て、少女は難しい表情を見せていたが、やがて
「……ええと。要するにそれって、人はそもそも
「ああ、それに近い話は聞いたことが有るなあ。
「ええ。つまり人が
「ほうほう、なるほどな」
「そういうわけで、事実に反することは言ってない、だから
「なに。間違ってなくても
「たとえば、自分は
「ああ、そういう事か。受け手側で補完されるだろう部分でもって
「ええ。その強盗にしても、危険をともなう力仕事とか、命をあずかる
「まあその大抵は、不当に評価を高めたい、といった魂胆か。つまり
「はい。だから逆に、事実じゃあ
「ああ。そういうのは
「えっとまあ、そうですね。昔むかし、ある所に
「
「ふふ」
私が鋭い視線を当ててやると、至って楽しそうな顔をした少女である。
ほうほう、なるほどなるほど。
了解だ、私は了解したぞ。
「人をただ言い
「信じる者は救われる、努力はいつか報われる、幸不幸は
「え、あ……ええ、はい。その、そういう
「むしろ都合よく
「ええ。踊らされちゃうと
──ふっ。
疑わしいような調子狂うようなと、困惑して突っ込みを入れてくる少女へ、私は笑って
やれ、
この話は
いや、ここまで語られて
少女に言われ、そんな感じの天使の面々が、脳裏に浮かんてしまった。
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