第9話:うるさい。

「だいじょ…う、ぶか???」


急いでドアを開けて目に入ったのは―――


「ふぅ。」

「キュー……」


何かをやり切った顔をしたお嬢様と窓ガラスに叩きつけられたのであろう目を回して気絶している全身黒ずくめの小柄な少女だった。


「なにがあったらそうなるんだよ……」

「簡単に説明するわ、まずあの子が窓から入ってきた。不審だったから投げ飛ばした。以上よ。」

「異常だろ…」

「敬語」

「あ、はい。失礼しました。」

「この少女はどうなさいますか?……ん?」


よく見るとこの子纏っているこの服。

俺が通っていた学校のものだ。

つまり?


――俺が任務失敗したから次の人が雇われたのか。


「あー、えーっと……お嬢様?」

「何かしら?」

「こいつ、俺がいた学校の生徒かも……です。」

「そう、ならこの子はあなたに任せるわ。」

「えぇ…?」

そうしてお嬢様は部屋から出ていこうとした、するとその時、気を失っていた少女が目を覚ました。

「ハッ!!私は何を……ここは?あっ!!お前は!!怪力おんn―――」

「この子、拷問してから殺してちょうだい。」

「えっ!?ちょっ!?」

「承知しました。」

「まてーい!!」

少女は1度お嬢様の方に飛びかかろうとしたがさっきのことを思い出したのか、暗器を手に持ちこちらに向かってくる。

(人質をとるつもりか?)

かなりの速度で少女は距離を詰めてくる。

普通だったらすぐに捕まるor殺されているだろう。


相手が俺じゃなければね。


「おっそ。」

「ヘブッ!!」

走ってくる少女を俺は蹴飛ばした。

身体能力は無駄にあるんだよな、俺。

先生や同期の生徒達からは宝の持ち腐れってよく言われたなぁ。

懐かしい。

「それじゃあ私は別の部屋で待ってるわ。」

「承知しました。」

「お前何もんだよ!!私を蹴るなんて!普通の執事じゃないな!?」

「……お前、白菊養成学校の生徒だろ。」

「な、なんでそれを!」

「だってお前のそれ制服じゃん。」

「なんで!!お前が!!制服を知ってるのよ!」

「俺、この前までそこの生徒だったし。」

「……え!?」

「うるさい。」

「ヘブッ!!」

あ、ついつい足が…まぁいいか。

それにしても……


こいつよくしゃべるなぁ――――

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