第6話:嫌な奴

「入ってきていいわよ。」

「………………」


部屋の中からは衣擦れの音が聞こえてくる


「どうしたの?早く来なさい。」

「入れるかっっ!!!!」


これで本当に入ったら何を言われるか分かったもんじゃない。


「どうしたんですか?」

「……お前、着替えt))))」

「お前?ソラお嬢様でしょう?それに、あなたは今日から私の傍付きなのですから敬語を使いなさい。」

「……本気か?」

「本気も本気よ。それに、新人のあなたが私になれなれしく接していたら皆怪しむでしょう?死にたいのかしら?」


そう言われると何も言えない。

仕方なく俺はこいつに従うことにした。


ガチャッ


「失礼します…」

「やっと来たわね、待ってたのよ?」


ドアを開けるとニヤニヤしながらスマホから録音したのであろう衣擦れの音を流していた。


「………ドキドキした?」

「ハラハラしt…しましたね。」

「でしょう?」

「セクハラ、パワハラ略してハラハラですけどね…?」

「……誰もうまいことを言えなんて言ってないわよ、なんか悔しいのでそういうのやめなさい。」

「ならこんなことしないでください。仕事初日から面倒くさいです。」

「いいじゃない。私だってこんなに気軽に話せる人今までいなかったんだから。」



こいつ、嫌な奴だなぁ………

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