第3話:新しいお仕事
「殺し屋さん私とお話ししませんか?」
この少女は何を言っているんだろう。
「もしかして喋れないんですか?舌がないんですか?」
辛辣だな。
普段の任務中は極力話さないんだが、この状況じゃしょうがないな。
「なんで俺をかばったんだ。」
純粋な疑問だった。
「かばった?あぁ、もしかしてさっきのことですか?」
「…かばったんじゃないのか?」
「別にかばったわけじゃないです。私は聞きたかっただけです。あなたがなぜ“私を殺してくれなかった”のかを。」
「…は?」
「私はあの時殺されたかった。やっとこの狭くて苦しい世界から逃げ出せると思ったのに。」
「…逃げ出す?」
「はい。私は嫌いです、過保護すぎる父も、私と父を遺して死んでしまった母も、私をこんな家庭に送り込んだ世界も、全部全部、嫌いなんです。」
「そうか。」
「意外ですね。なにかもっと反応があると思ったんですけど。」
「まぁ驚かなかったわけじゃないさ。ただ少し意外だったんだよ。」
俺は少し笑いながらそういうと
「意外?・・・ってなんで笑ってるんですか。」
すこし腹をたてた表情をして彼女は聞いてきた。
「あぁ、財閥のお嬢様みたいな俺からしたら天の上の存在みたいなやつがそんな悩みを持ってたなんてって思うとちょっと意外でな。」
「…そうですね、意外かもしれません。しかし、そういった人にはそういったなやみがあるということです。」
「そうか、あと聞きたかったんだが俺は今からどうなるんだ?やっぱ殺されんのかな?」
「そのことでしたら心配ありません。あなたにはこれから私の傍付きとして働いてもらいます。あなた顔はいいですからね。」
「…は?」
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