第5話 お気に入りの場所で 上
後ろからリミアの声が聞こえてくるが無視して俺は池の真ん中の方にある一番大きな岩に向かってカエルのようにぴょんぴょんとジャンプした。
今日は人と会う事になっていたし、いつもより無駄にヒラヒラした服のせいでジャンプしづらいな。
それでも何とか目的の場所にたどり着き「おーい、スティード様こっちですー」と手を振りながらスティードを呼んだ。
「...」
スティードは驚いているのかジッとしていて動かない。
「どうしたんですかー?」
「今行きます」
俺みたいにぴょんぴょんと飛ぶのでは無くスティードはタンタンと身軽に岩から岩にジャンプしていく。
岩と岩の距離がそこまで離れているわけではないので子どもでもあれくらいは出来るだろう。
くっ、やるなスティード。
これが性別の壁か?
俺だってこんなヒラヒラした服じゃなければスティードみたいに華麗に飛べるはずだ。
今度試してみるか。
そんな事を考えているとスティードはもう俺のいる大きな岩まで来ていた。
子ども2人なら一緒に乗る事は出来るくらいに大きな岩に俺とスティードの二人で乗る。
「ここが私のお気に入りの場所です。ここに座って空や池を眺めたりしてボーッとするのが好きですの」
「なるほど、確かに落ち着きますね」
ずっと立ってるのもあれだし俺はいつものようにハンカチを取り出してその上に腰を落とした。
スティードも同じようにして座り二人で池を眺めてゆったりとした時間を過ごす。
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