第4話 屋敷を案内するって

 バウマンさんに軽くお辞儀をして部屋を出る。


 リミアが付き添いで少し離れて後ろから着いて来てくれるみたいだ。


「それではスティード様行きましょう」


「お願いします、セラフィ様」


 ずっと思ってたけど、スティードって表情が変わらない。


 緊張で固まってるのかと思ってたけどこれが素なのかな?


 まあいいや。


「どこからいこうかな」


 屋敷の中とか見てまわっても仕方ないし、どうせなら俺のお気に入りの場所にいこう。


「そうだ、私のお気に入りの場所にご案内しますね」


「はい、よろしくお願いします」


 俺の屋敷案内はまず屋敷から出て庭園に向かう所から始まる。


 庭園にはかなり大きな池があって、池の中には大きな岩がいくつもある。


 池の深さはだいたい俺の太ももが浸かるくらいで、落ちても心配はない。


 勉強をサボりたい時やリミアから逃げる時はだいたいこの池を使う。


 ぴょんぴょんと岩から岩へジャンプして真ん中くらいに行って日向ぼっこをするのが俺の楽しみでお気に入りの場所だ。


 俺がジャンプして行けるくらいだから、もちろんリミアだってくる事が出来るが場所が場所なだけあって連れ戻す事が大変らしい。


 間違って落ちてしまったら風邪をひいてしまうかもしれないとか。


 だから30分くらいはボケーっと空を眺めたりしている。


 そんな場所にスティードを案内しようというのだ、屋敷から出た時点でリミアは薄々気付いていそうな感じだ。


「ここですわ、スティード様」


「立派ですね。とても綺麗だ」


「ありがとうございます。ですがもっと綺麗な場所があるんですよ」と得意げな表情を作りそのまま大きな岩に向かってぴょんとジャンプしようとしたがリミアに止められた。


「お嬢様!今日は我慢してください、服も汚れますし、お客様がいらっしゃるのにそんな事をしてはアイン様に怒られますよ?」


「うっ...それは嫌だ...けど、お父様には案内してあげろと言われたわ。だから私はこの屋敷で一番綺麗な場所に案内する責任があると思うの。だから今日は大丈夫!」と言って今度こそ大きな岩に向かってぴょんとジャンプした。


「お嬢様!」とまたリミアの声は聞こえてきたけど無視だ。

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