第3話 お父様の友人と息子

 お父様が待っている部屋にリミアと向かう。


 ドアの前に立つと外にまで声が聞こえてくるくらいに部屋の中では話が盛り上がっている。


 ここまで盛り上がられていると入るのに躊躇してしまうな。


 まあ、そんな事を考えていても仕方ない。


 待たせる方が失礼だ。


 コンコンとドアをノックすると部屋の中からメイドさんがドアを開けてくれた。


「おお、待っていたぞ。入りなさい」


「失礼します、お父様」


「失礼します」と言ってリミアも一緒に入り、俺はお父様の近くの椅子に行き、リミアはドアの近くの壁に立っている。


「俺の娘のセラフィだ。セラフィ、挨拶を」


 相手方も立ち上がり。


「初めまして、セラフィ・スコルティアと申します」と言いながら膝を曲げて身体を少し沈めてお辞儀をする。スカートの裾を少し持ち上げ床にスカートがつかないように気をつける。


 ふふん、はい完璧。


 慣れないこの挨拶をリミアに見てもらいながら結構練習したからお嬢様感が溢れ出ているはずだ。


 いや、俺お嬢様なんだけどね。


「これはこれは、ご丁寧にありがとう。私はバウマン・カナドレクです。アインとは長い付き合いでね、たまたま近くまで来ていたので今日は立ち寄らせてもらったんだよ」


 ふーん、お父様の友人か。


「そうでしたか。くつろいで行ってくださいね」と、とびきりの笑顔をプレゼントする。


「はは、ありがとう。そして息子のスティードだ」


 バウマンさんの横に私と同じくらいの身長でバウマンさんと同じ茶色い髪にこれまたバウマンさんに似て優しそうな目、整った顔立ち。将来が楽しみな美少年。


「スティード・カナドレクです。よろしくお願いします」


 一通り挨拶が済んで席に着き、机を挟んで談笑をする。


 どれくらい話しただろうか、というかほとんどお父様とバウマンさんが昔の話に花を咲かせて盛り上がっている。


 暇だ。


「そうだ、セラフィこのままここにいても暇だろう。屋敷を案内してあげたらどうだ?」とお父様からナイスな提案がきた。


「そうだな、スティード。行ってきなさい」


 バウマンさんも乗り気のようだ。


 ここにいても暇過ぎで死んでしまう。


「はい、お父様」と返事をするスティード。


「行ってきます、お父様」

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