第2話 時を経て5歳になりました
「ふむふむ、なかなか」
鏡の前で自分の姿を眺める事30分、俺はうんうんと頷く。
自分が女の子の姿になるとは思ってなかったし、最初はビックリしたけど段々と慣れてきた。
今では自分の可愛さを鏡で確認して見惚れる日々を過ごしている。
もっと可愛い服を着たいとか思ってしまうのも女の子になった影響なのかな?
まだまだあどけなさが残っているけど、何つーか?俺ってば超可愛くない?
5歳でこれだけ可愛いなら後10年もしたらいったいどれだけの美少女になるんだ、ああ、こわい、俺の成長がこわい。
まるで自分を抱きしめるように鏡を抱きしめながらうへへへへと変な笑い声を上げる。
「お嬢様...そろそろ」
「もうちょっとだけ〜」
俺付きの専属メイドである、リミアがやれやれと言った感じで顔を振り、肩で揃えてある綺麗な栗色の髪を左右に小さく揺らす。
リミアは俺が産まれた時に専属メイドに決まったらしい、それからずっと俺のお世話をしてくれていて、鏡の前で30分のこの行動を黙って見てくれている。
左目を事故で失っていて、黒い眼帯を付けており、その眼帯の左下には小さく俺の髪色と同じ濃いピンク色の桜の花びらを刺繍している。
これは俺が5歳になってからお世話になっているリミアの誕生日に送った物でそれからいつも身につけてくれている。
この世界には桜は無いので最初は何の花びらなのか不思議がられていたけど、綺麗だと言ってとても気に入ってくれているようだ。
リミアが近づいてきて「そろそろ準備しますよ、お嬢様」と言って鏡から俺を引き剥がした。
「はーい」
俺に遠慮が無くなってきている気がするな。
俺が変な行動ばっかりするからか?
まあ、変に距離を取ってかしこまられるよりは今のように接してくれた方が楽でいいけど。
「はい、準備出来ましたよ。可愛い可愛いお嬢様」とリミアがからかうように言ってくる。
「うん、ありがとうリミア」と最高の笑顔で返事をする。
これがいつものやりとりで、嫌味ったらしさはない。
リミアは俺の事を本当に大事に思ってくれているし、俺もリミアが大事だ。
不思議と恋愛感情は抱かないけど、前世の俺なら好きになってたかもな。
んー、なんで何とも思わないんだろう。
好みの問題かな?
まあ、俺はリミアがいないと生きていけないのは確かだ。
いつまでもお世話してもらおう。
服を着替えて髪を整えてもらい、元々可愛い俺がさらに可愛くなってしまった。
母親譲りのウェーブのかかった髪はどうやってもストレートにする事は出来なかった、この世界の強制力ってやつですか。
でも俺はこのフワフワの髪を気に入っている。
前世の俺は男だったし髪質が硬かったから、女の子のフワフワで柔らかい髪はいつまでも指を通していたくなるくらいだ。
目つきがお父様に似てしまって少しつり上がり気味なのがちょっときつそうに見えてしまうかな、でもお母様に似て品があって愛嬌のある顔立ちは美人さが際立ちそうだ。
「さ、アイン様が待っておられますよ」
アイン様とは俺のお父様の事だ。
会わせたい人がいるからと言われてるけど、誰だろう。
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