気まぐれな神様の言い伝え
______________________________________
むかしむかしの、そのまた昔
気まぐれな神様がおりました
その神様は、まさに気まぐれという言葉を体現した神様で、
何分言葉というものがまだ生まれたばかりのことでありますので、
そもそも気まぐれと云う言葉も、その神様のお名前だったのではないか、
と、真実かどうかは別として、そうであってもおかしくないと思われるほどです
ある夜、神様は気まぐれに思いました
雨を逆に降らせたらどうなるだろうと
気まぐれな神様のことですので何かを思いついたところで、
いつもはすぐ興味を失ってしまうのですがその時は気まぐれにも、
その思いつきをすぐに実行に移して、たちまちに雨の降る向きを逆さまに、
つまり、地上から天へと昇っていた物を天から地上へと降るようにしたのでした
天地開闢の頃より続く、天の川へ注ぐ篠突く雨
それらがいっせいに、この星の上を満たします
そうして海と呼ばれる物が現れ後に
そちらへ目もくれず、次の気まぐれに
神様の前に幾千の星々が初めて姿を現しました。顔を上げ、ああ綺麗だ、
とつぶやいた次の瞬間にはもう、別の事を考えていたのは言うまでもありません
そういうわけで、
だからきっと、気まぐれに、今日まで続いているのです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます