第二話

 数日後。


 シバは解決したことを報告をしに店に行くことにした。そもそもそんなことはしなくてもいいのだが、足は自然と店に向かっていた。


 すると李仁は喜んで歓迎してくれたのだ。そしてシバは現金を入れた封筒を差し出すと、即返された。

「こんなのいらないわ」


 返すときの李仁の手を見るととても綺麗でシュッとした指にシバはつい見惚れてしまった。そしてその手はシバの手を握った。李仁に見つめられる。じとっとした艶かしい目で。


「いや、お礼をさせてほしい」

 シバは握り返した。

「明日、ボジョレー解禁日なの。もう入手してるから一緒に夜飲まない?」



 ◆◆◆


 とあるラブホテルでシバと李仁は身体を交わした。シバにとって男は初めてであったが李仁は女のような仕草でシバを惑わせ、上手に誘導したのだ。


 そして日を跨いだときに二人はボジョレーヌーボをグラスに注いで飲んだ。口移しでも。


 互いの頬が赤く染まる。さらにシバたちは混ざり合った。覚悟とはなんだったのか。瀧本さんも、このような関係を持ったのかどうかはわからない。


 シバはまぁこれきりの関係だろうと思っていたから相手したようだったが、まさかそれから何年も彼に翻弄されるとはこの時は知らなかった。


 それからシバは何回か李仁と会い、彼の情報でいくつかの事件が解決された。


 ちなみに先ほどまでのはじめてのふたりのまじわりは初めての時のことか、はたまた違う時のことなのかシバは事件以外は特に執着はしないため記憶があやふやのためそうではないのではなかろうか。

 誰かに自分の初めての男性との交わりのことを話す際……と言ってもそれを言う相手はそうおおくはないが……に二転三転してはいるが。



 話は戻り。


 そしてその後も何度かベッドで二人で交わった。一回きりかと思っていたのだが、シバはだんだん彼への扱いも慣れてきて虜になっていく自分が怖くなってきたようだ。だが愛し続けた。


「ピアスが欲しい」


 と李仁から言われてシバは適当に買ってきたトパーズのピアスを渡すとリヒトは喜んでいた。そしておもむろにカバンからピアッサーを取り出した。普段から持ち歩くものではないのだが、李仁の無数のピアスの穴を見れば異常さはわからなくもない。


「シバの好きな場所にあけてほしい」


 李仁の耳に穴を開けるというのか? と驚く。もちろん人にも自分でさえも開けたことがない。もうすでに何箇所もピアスが開いている。どこにあけろと戸惑う。


 シバはとりあえず適当に場所を決めてピアッサーで開けた。李仁はうっと声を上げたが、その声も艶かしい。


「ありがとう」


 と微笑む李仁。痛くないのか? とシバは心配する。少し血が出てる。


「大丈夫。上手よ、シバ……」


 そしてトパーズのピアスをさす。

「シバ、好きよ」

 と、シバは抱きしめられた。






 時は経ち。


 ふと李仁の耳元を見ると開けたはずのピアスは無く、開けたであろう箇所の穴はほぼ埋まっていた。もうかれこれ10年も前の話だ。


 無数にあった李仁のピアスの穴も数個のみになった。男の数だけ空けていたようだが今はもうパートナーがいる李仁。


 だが李仁はシバの下半身を弄る。おいおいやめろ、と言っても更に触る。


「だからこうやってお前に相手にしてもらってるんだろ」

 そうシバが言うと李仁は微笑み、シバのを愛す。


 そのままシバは天井を見上げた。


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