ブレイクタイム 李仁

第一話

 ※こちらの回はBLシーンがあります※



 シバはとある家に来ていた。すごく寛いでいる。

 台所から声がした。


「ねぇ、シバは何食べたい?」

「うーん、じゃあねぇ……カツ丼」

「ふふふ、取調室じゃないんだから……」

「だってさー、お前の作るカツ丼美味しいから」

「はいはい了解。豚ないから鳥でいいかしら」

「おい、それじゃ親子丼だろ」

「なーによっ、突然来てわがまま言わないでちょうだい」


 そう言って台所に行ったのは李仁という男である。フルネームは里志李仁。長身で耳にピアスを数点、見た目は男だが言葉はおねえ言葉。


 シバが、よく通っていたバーの店員でもあり、情報屋。今はもうやめて新しい職場に転職するため有休消化中である。


 何故シバが李仁の家に来ているかというと……。


「もぉ、今から作るんだから……大人しくソファーで待っててっ」

「……!!」


 シバは李仁を後ろから抱きしめキスをする。とても荒々しく。


「ご飯食べた後にしてっ」


 抵抗する李仁を無視してシバは後ろから羽交い締めにする。


「もう我慢できねぇ!!」

「いやっ!! やだっ……!!」






 シバは李仁とを済ませてシャワーを浴び、裸のままリビングに戻ってソファーに横たわる。李仁はその後シャワーに入った。


 シバは基本相手は女性のみだが、ゲイである李仁に関しては体の関係を持つ。誰でもいいというわけでもないが性欲底無しである。




 シバと李仁の関係。これも過去に遡る。



 シバは事件が行き詰まり、先輩の瀧本に相談した。するととあるはずれのバーに情報屋がいると教えてもらった。


「まぁそれなりに覚悟していけ」


 瀧本の言う覚悟とは? 李仁というのは怪しいやつではないよな? と不安に思いながらもシバはどうしても事件を早く解決したかった。これ以上苦しむ人を増やさないためにも。


 そのバーに入ると薄暗い店内であった。客はまばら。どこにいるのか。シバはキョロキョロとしないようにしてはいたが、どう観ても怪しい。一部の店員から声をかけられたがシバはなんでもない、と答えた。


『リヒト』


 という男に尋ねろ、と瀧本に言われたので声をかけた店員に尋ねると自分ではないが、あそこの、と指をさされたカウンターに一人のバーテンダーが立っていた。


「いらっしゃい」

 と目が合うと彼に微笑まれた。髪が長く、それを束ねていて、ピアスをしている。穴もたくさん開いている。見た目は中性的な感じである。シバは息を呑んだ。


「あの、リヒト……」

「わたしよ」

 李仁は喋ると女のよう。仕草も。


「瀧本さんから聞いてます。どのようなことを?」

 シバは他の客の目を気にしながらもとある事件に関する女性の写真を李仁に見せた。


「ああ、この子ね。この通りの飲み屋の……」

 もう一枚の男の写真を見て彼もわかるとのことだ。


「メールでまた情報を送るわ」

 シバは黒い名刺を渡された。ホログラムで描かれた蝶の模様が怪しく光る。裏には電話番号、メアドが書いてあった。




 彼の情報は的確で事件の解決につながった。シバはどうしてこんなに情報を? 謎には思ったが瀧本には深入りするなと言われた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る