第5話 事件のあらまし3

 検索した麻美の情報を頭に入れ、トイレで手を洗って署をあとにする。



 すれ違った数人の刑事たちを睨みつつも車の中で待っていたのは部下の茜部だった。運転席内で待っていた。


「遅かったっすね、シバさん」

「悪いな、またせちゃって。お前も俺も戦力外って……今から署に戻るのもあれだから風俗行くか」


 茜部はそれを聞いて吹く。そして顔を赤らめている。


「もう、その発想は!! まぁ悪くはないですけど」

「溜まってんだろー」

「そんなことないっすよ」

「そうだよな……なぁ」


 シバは茜部の肩をぐりぐりと突く。茜部はまんざらでもない顔をしている。助手席で麻美のデータを頭の中でンーと言いながら整理している。


「どうしたんすか、唸って」

「ん? まぁね、風俗もいいけど行って欲しい所あるんだけど」

「でももう帰らないと」

「いいから」


 シバが念を押す。


「……いいっすよ、どこっすか」

「案内すっから」

「わかりました……」


 茜部は逆らえないようだが、こうみえてもシバのことを上司として慕ってる唯一の部下だったりもする。ハンドルを握って車を発進させる。


「それよりもさ、どうなのよ……帆奈とは」

「あ、はい……帆奈さん……」

「帆奈いい女だろ」


 茜部は冷や汗である。彼の恋人の名前だ。


「そりゃ俺の抱いた女だからな」

「……は、はい……」

「はいはい、じゃあ行くよー」

 茜部はシバの前の恋人、帆奈と付き合っているのであった。そして帆奈はシバのバディでもあるのだ。

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