第65話
こうして、
別邸では五人の配下が王鬼の
「
紅が言うと、
「お前がそう呼びたいのなら、それでいい。俺はただ、お前にとっての「王」ではなく、友でありたいと思ったから、「
と王鬼は答えた。それを聞いて、
「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない。あなたを配下になんて言って、ごめんなさい。あなたが強くて悔しかったのよ。でも、素直に言うわ。あなたはあたしよりも上の存在だわ。黒猫ちゃんがあなたを別格と言った意味が分かったわ」
紅がここまで誰かを褒め称える言葉を発したのを聞くのは、榊にとっては初めてで、それだけ、この王鬼に敬意を表していることが窺えた。
「さて、本題よ。あなた、組織の上層部に位置していたのだから、組織について詳しいのでしょう? 知っている事を話してくれないかしら?」
紅が聞くと、
「話すのは構わないが、何を聞きたい?」
王鬼は、笑みを浮かべて頬杖をつきながら、紅に質問した。
「そうね。まずは、
「分かった」
王鬼はそう言って語り出した。
水の能力者は『青』と呼ばれる若い男。彼は非常に冷徹で、組織内でも近寄り難い存在とされている。綺麗に整った人形のような顔には表情はなく、心は読めない。常に警戒を解かず、彼の冷たい目で見られると、心までが凍りつきそうだと、周りの者たちは恐れている。しかし、王鬼にとっては取るに足らず。『青』は
火の能力者は『赤』と呼ばれる若い女。彼女は王鬼の前に姿を見せた事はない。噂でしか聞いたことはないが、強い力を持ち、多くの配下を従えているという。
それから、『白き神』。俺はそいつに一度だけあったことがあるが、あいつは俺を警戒して、それ以来、会うことはなかった。
王鬼がそこで言葉を切ると、
「その『白き神』は一体何者なの?」
紅が質問した。
「光の能力者だ。しかし、解せぬ。俺が知っている光の能力者は、世を乱す
と王鬼は答え、
「あら、それは聞き捨てならないわね。その隠された能力とは一体何なの?」
紅が聞くと、
「それが、分からない。探りを入れようとしたが、警戒されて、会うことも出来なくなった」
王鬼はそう言って、言葉を続けた。
「警戒心の強い『白き神』だが、あいつは『青』を傍に置いている。どうやら、『青』は奴のお気に入りのようだ」
それを聞いた紅は、
「それは好都合ね。『青』を捕まえて、『白き神』の秘密を吐かせてやるわ」
と言って、不敵に笑った。
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