第39話
信者たちを屋敷へ泊めた翌朝、
「
「精進せよ」
そして、信者たちは旅立った。
「さてと、信者たちからの情報をまとめましょうか」
紅は組織の情報を信者たちから入手していた。まとめるとこうだ。
組織の名は『夜明け』
規模-不明
目的-世界征服
主導者-『白き神』:白髪で肌の白い少年。瞳は青みがかった白。能力は『光』
四強-『青』:若く長身の男。能力は『水』
『赤』:
『黄』:
『緑』:
それぞれの属性の強者がいるが、彼らの知っているのは『
「どうやって制圧しようかしら?」
紅が思案しているところへ、
「紅様、そろそろお時間でございます」
榊が声をかけた。
「そうね」
紅は神のお告げと称し、悩み事相談を仕事としていた。
紅が本日、一人目の客を迎えた頃、四之宮は寝ぼけた感じで起きて、広い敷地内で迷子になっていた。
「おはようございます、四之宮様。お食事の準備が出来ております」
そこへ、タイミングよく榊が現れ声をかけた。彼は良くできた執事であるが、出来過ぎているところが少し不気味だと四之宮は思った。四之宮の動きをどこかで見ているのではないかと言うほど、タイミングを合わせてくる。もしや、この男も能力者なのではないかと疑いたくなるほどであった。
「おはようございます」
食堂には、四之宮のためだけに、一人分の朝食が用意されていた。こんな待遇は四之宮にとって初めてだった。幼い頃に両親を失い、そのまま組織に入り集団生活。同じような境遇の子供たちと共に育った。組織の敷地内には学び舎もあり、教師もいた。それらもみんな能力者だった。普通の人間と能力者は、共存するには難しい事だと教えられた。能力者は無能力者の上に立つべきもので、この世界を征服し、歪んだ社会を正すのだと。そこでは、師の教えが正しいのだと教え込まれた。今考えれば、あれは洗脳だったのかもしれない。自由はなく、ただ目的のために集結し、能力を伸ばし、組織のために働く。そこには個人と言う概念はなかった。今、こうして、自分のためだけに部屋を与えられ、自分のためだけに朝食が用意されている。そして何より、彼らは自分を呼称してくれている。組織内では名前など呼ばれない。個人としての自分はそこにはなかった。結局、組織には自分の居場所などなかったのだ。
「四之宮様、どうかなされましたか?」
食事に手を付けずにいた四之宮を心配し、榊が声をかけた。
「いえ、大丈夫です。いただきます」
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