第33話
「ねえ、りっちゃん。親が居なくて、居場所がないなら、ここで一緒に暮らしましょっ。ねっ、いいよね? 組織の連中には手出しはさせないわ。あたしがそばにいれば安心よ。なんだかワクワクするわ。明日はりっちゃんの服を買いに、街まで行きましょうよ。
今の状況で、こんな話をする紅に、皆が唖然としていたが、如月と榊は、紅の事をよく知っていた。
「紅様、落ち着いて下さい。四之宮様のこれからについての話し合いと、敵の組織についての話しから、大きく脱線しています」
榊は、冷静に言葉をかけた。
「あら、そんな話しだったかしら? まあ、いいわ。りっちゃんはあたしが預かる。敵の組織の情報は、他の奴を掴まえて吐かせるわ。それでいいでしょ?」
紅が、勝手に話し合いを終了させた。
その日、紅の屋敷では晩餐会が開かれた。
「今日から、あたしの屋敷で、りっちゃんが暮らすことになった事をお祝いして、かんぱーい!」
紅が、満面の笑みでグラスをかかげた。そこには、今井、黒猫佐久間、高一郎、藤堂。そして、今日の主役の四之宮がいた。
晩餐会の前に、四之宮は、如月に風呂で身体を洗われ、紅のお下がりの薄水色のドレスを着せられ、髪を可愛く結わっていた。ドレスは、紅の十歳の祝いに、藤堂から送られた物だった。十四歳の四之宮は小柄で、サイズがぴったりだった。ただ、藤堂の趣味で可愛らし過ぎる、いわゆるロリータファッションだった。紅はこれには一度も袖を通さなかったことに、藤堂は残念がっていたのだ。
「りっちゃん、可愛い!」
紅は、大喜びで四之宮を抱きしめた。これはもやは、セクハラではないかと、今井は思った。
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