第5話 真逆の躾け

 無論、【挨拶あいさつ】をさせない、子供達は【挨拶】をしないのだから、問題や混乱は当然のごとく起こる。


 近所に私より2,3歳年長の小さい女の子が居た。

 

 その女の子が、例の挨拶しない「その子」のお兄ちゃんも、当然、挨拶をしなかったので、口頭で注意した事が有った。


 ただ、そもそも両親が挨拶させていないので、「その子」のお兄ちゃんも当然、その女の子の、言葉は無視してしまう。


 結果、私の目の前でその女の子は、激怒して水槽すいそうを ひっくり返してしまった。


 私は背筋が凍ってしまった。


 ある時からこの家族とは、無難にやっていこうという意識が、私の心の中に芽吹きだしていった。


 それから、ものに触るように気を使って、


「・・・他人の家の教育方針にどうこういうのは、良くないかもしれないけど、どうしたの?」


 と、たずねたことが有った。


 その時、近くに「その子」の父親がおり、


よしちゃんの家は学校の先生の家系だから、優しいんだぁ!!」


と、急に割って入ってきて、挨拶しないことを正当化した。


 目の前に、W君という目玉の大きい坊主頭の子が居たが、ただでさえ大きい目玉を、余計、ひん剥いて仰天していたのを、ハッキリ覚えている。


(…なにを言ってるんだ、この父親は。常識と真逆の躾けじゃないか。)


と、私も開いた口がふさがらなかった。







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