あなたと私

あなたが玄関を開ける

「おかえり」と私が笑う

一緒に食事を食べて

今日の些細な出来事も

あなたの仕事の愚痴も

二人で食器を洗うのも

あなたと私の日常だった


歳をとっても一緒だよって、あなた言ったじゃない

手を離さないでねって、私言ったじゃない

置いていかないで 一人にしないで

暗いリビングは 寂しすぎるのよ


あなたのシャツも靴下も

拾って洗うのは私

一緒に洗濯物を取り込んで

畳んだタオルをしまうのも

カッターシャツを掛けるのも

靴下をクルンとまとめるのも

あなたと私の約束だった


腕枕は忘れないよって、あなた言ったじゃない

毎日起こすからねって、私言ったじゃない

置いていかないで 一人にしないで

ダブルベッドは広すぎるのよ


あなたが世界に残していった

あなたの欠片を探す私は

きっと滑稽に見えるでしょう

どれだけ集めても

あなたは戻らないのに


置いていかないで 一人にしないで

あなたがいないと笑えないのよ

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