第5話 6 Days Ago
律は莉緒を起こさないようにそっとベッドから降りようとしたが、気づかれてしまう。
莉緒は寝ぼけた声で、
「律?どうしたの?」
「莉緒、起こしてごめん。一旦家に帰って服を着替えようと思って」
「今何時?」
「5時だよ」
「そっか、電車動いているものね」
莉緒はベッドから起きようとしたが律に止められる。
「そのまま寝てていいよ」
莉緒は悩んだけど、
「うん、わかった。気をつけてね。またあとで」
と約束すると、莉緒はあっという間に寝息を立て始める。
ほっとした律は音を立てないようにそっと莉緒の家を出た。
スマホのアラームで目覚めた莉緒はいつものように慌ただしく準備をして家を出る。
飯田橋駅の改札を出て、待ち合わせの場所に行くと律はスマホを見ていた。
そのまま近づくと、莉緒に気付いたようで、慌ててスマホをカバンに入れる。
「おはよう、莉緒。あのあともよく眠れた?」
「うん、よく眠れた。最近、スマホが変なこと話すから、気になって眠れなかったんだ」
何気に莉緒は話す。
「えっ?なんて話すの?」
「えーとね、私の死ぬ日は何日後です、みたいな」
律は少し考えて、カバンの中を漁ると、
「莉緒、これ、市販薬なんだけどよく眠れる薬なんだ。眠れない場合は1錠飲んでみて」
と莉緒にシート状の薬を一束手渡す。
「わぁ、ありがとう!でもスマホ変えたから、大丈夫だと思うんだよね」
「そうか。でも、それはお守りがわりに持っていて」
「そうだね。最近疲れてるから、飲めば早く眠れるもんね」
律に感謝しながら薬を受け取り、カバンの中に入れて、エレベータの中で、また明日、と言って別れた。
(今日も請求書の処理が終わらなかったな……こちらから聞かないと答えない人が多いって、どういうこと!?)
自宅に戻り、文句を言いながらシャワーを浴びて、スマホと小説をもってベッドに潜り込む。
(スマホがしゃべらないと静かだな)
と思った矢先、
『莉緒さん、お休みの時間ですか?莉緒さんはあと6日後に亡くなります』
(スマホ変えたし、今日1日話さなかったのに、なぜ?)
莉緒は気味が悪くなり、律からもらった薬を飲んですぐに目を瞑る。
だが、莉緒しかいない部屋なのに、近いところで誰かが話す声が聞こえる。
莉緒はベッドから出ると、部屋の灯りを点けて確認したが、誰もいない。
(どういうこと?)
莉緒はもう1錠薬を飲んだが、ベッドに入る直前に意識を失った。
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