第4話 7 Days Ago
翌日、莉緒は朝の待ち合わせの時に、律にスマホを買い替えたいと相談した。
「何か不具合でもあった?」
「あっ、不具合じゃなくて、よくベッドからフローリングの床に落としていたから、画面の端とか割れちゃって……」
律は莉緒の持っているスマホを不思議そうな顔をして見ていたけど、
「今日の夜、早く帰れそうだけど、一緒に見に行く?」
「本当に?じゃあ、一緒に行きたいな」
「わかった。んと、池袋が近いよな……18時30分に神楽坂下のスタバ前あたりの待ち合わせでいい?」
「うん、わかった。よろしくね!」
夜の約束を交わして、会社のエレベータで、またね、と別れた。
相変わらず、請求書の処理が終わらなかったけど、区切りをつけて会社を出る。
待ち合わせ場所に行くと、律が先に待っていて、莉緒を見ると笑顔で手を振ってくれる。
「遅くなってごめんね。待った?」
「お疲れ様。さっききたところだよ。じゃ、早速行こうか?」
律の言葉に頷き、近くにある駅の入口から有楽町線に乗り、池袋へと向かった。
池袋にある家電量販店に行き、律にスマホの機種選定を任せる。
「莉緒、これがいいんじゃないかな?電話とSNSくらいだろ?」
「うん」
「じゃあ、これで。本体だけ買って、あとは莉緒の家で設定するから」
「ありがとう!」
会計を済ませると莉緒の家に2人で向かう。
莉緒の家に到着して、律は手を洗うとすぐにスマホの初期設定を始める。
その間に莉緒はごはんを炊き、魚を焼くと、煮物と小松菜のお浸しを作る。
食事ができ上ったのと同時位に、律もスマホの設定を終えた。
「りおー。スマホの設定終わったよ」
「ありがとう!設定するの苦手だから、助かる」
莉緒は律に感謝を伝える。
「食事の用意が終わったから、食べる?」
その言葉に律は満面の笑みを浮かべると弾んだ声で、
「ひさしぶりに莉緒の料理を食べるな」
と言う。莉緒は少し考えて、
「そういえば、そうだね」
「食事を用意してくれてありがとう」
そういうと突然キスをしたから、びっくりして律の顔を見つめてしまう。
「そんな驚いた顔をしないで」
律は少し拗ねたような表情で言うと、
「今日、泊まっていってもいい?」
と聞いてきたので、莉緒は顔を赤らめてただ頷いた。
その夜、スマホからは気味の悪いメッセージは聞こえなかった。
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