第14話 1000ハマリ

「では、達者で」


 今回もエンマ様は根勝ちした銀次を現世に戻した。回数は遂に999回――四桁の大台目前だ。


「とうとう1000ハマり……もう限界だ! 次で天国直行のスペシャルタイムに突入させてやるか……」


 エンマ様は銀次の驚異的な粘り腰に遂に根負けした。そして、1000回で心の軍資金が切れてしまったのだ。


 そんな事情は露知らず、銀次はまた、閻王庁の裁判所へ導かれた。


 エンマ様からしたら、もう顔も見たくないほどの駄目人間。なので、いつものセリフを別れの言葉へと変えた。


「――ヘソに玉を入れる事ができれば、大当たり、『必ず』天国行き――」


 セリフを『つまり』から『必ず』へ。茶番から本番へと変更した証左だった。

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